その四
聖獣の輩 エピソード13 の頃
僕は白虎
名前はシロというのだ
ユーミちゃんのパートナー兼ペットなのだ
僕たちは青龍を誘拐したメルカバの聖霊達を追ってはるばるイギリス迄やって来たのだ
実はユーミちゃんはこんなにお家から離れてお泊りするのは初めてだったのだ
と言う訳でユーミちゃんはさっきからずっとモヤモヤした気分で元気が無いのだ
人間の言葉でこういうのはホームシックと言うのだ
ちなみに僕とユーミちゃんはテレパシーで繋がっているのでユーミちゃんのモヤモヤは直接僕に伝わってしまうのだ
ユーミ「お母さん、今頃どうしてるだろ」
カッスン「寝てるよ」
ユーミ「給食のおばさん、どうしてるだろ」
カッスン「あんたいつも給食残すじゃん」
ユーミ「家庭教師の先生、どうしてるだろ」
カッスン「あんた勉強できなくなって喜んでたじゃん」
ユーミ「ミジンコ、どうしてるかな」
カッスン「そんなに気になんなら、手紙書きな」
カッスン「後でミジンコにスマホ送るから、一緒に出して来てやるよ」
ユーミちゃんはカッスンから便せんをもらって早速書き始めたのだ
ユーミ「…愛してます」
カッスン「ラブレターなら違う封筒にしてナ」
カッスンは白い箱から新品の すまほ を取り出して初期設定を始めたのだ
ユーミ「そのスマホどうしたの?」
カッスン「さっきショッピングセンタで買って来た。 これはミジンコの分。 心配しなくてもユーミのもちゃんと有るわよ。」
カッスン「こっち(イギリス)のスマホはSIMフリーが選べるから正体バレなくて良いのよね」
ユーミ「シムって何なの?」
カッスン「電話回線用の認証チップみたいなもの。 ほら、此処んとこの小さい穴にこの針を差し込んでやると、トレイが出て来る…、これにこのSIMを乗っけて、戻す。」
ユーミちゃんの顔が妖しく赤いのだ
ユーミ「小さい方の穴に入れるとトイレで 出ちゃう…」
カッスン「おーい、大丈夫かぁ?」
カッスン「一月15ポンドのPay As You Goよ、これでクレジットカード無しでネット使い放題、日本もSIMフリー早くやってくれれば良いのにナ」
ユーミ「シムフリーって?」
カッスン「普通、日本の携帯ってキャリア(通信会社)縛られてるから、同じ携帯で他のキャリアに乗り換えられないんだけど、SIMフリーだとキャリア縛りがないから、このSIMを入れ換え挿し換えすれば自由にキャリアを変えられるのよ。 今月はこいつ、来月は違う奴とか。」
ユーミちゃんの顔が激しく赤いのだ
ユーミ「縛られていて、入れたり挿したりする…」
カッスン「縛られてなくて、入れ挿しできる!…って、違う!何か違う!!」
初期設定が終わったミジンコの すまほ をしげしげと眺めるユーミちゃん
何だか夢見る乙女の表情なのだ
ユーミ「ミジンコとおそろ…えへ…」
ユーミ「私の写真を壁紙にしよ!」
ユーミちゃん、妖しいスイッチ入ってるよ!
カッスン「ふっふっふっ…甘いわね、既にフォトライブラリには私のお宝画像が満載よ!」
ユーミ「消去…」
カッスン「あっ、コラ。 せっかくの紐ビキニ画像が!」
カッスン、痛すぎるよ…
ユーミ「 代わりにカメラで私の局部写真を…撮って…、保存」
ユーミちゃん、ゴメンね、なんか色々…ゴメンね、、
ユーミ「ところで、このスマホには恋人監視機能はついてないのかしら?」
カッスン「そう言う事だけはよく知ってるのね。」
カッスン「これにはその手のアプリはダウンロードしてないわよ。 まあせいぜい友達登録しておいて、居場所が判る様にして置くくらいかナ」
カッスン「それに恋人監視機能って言うのは間違った理解よ。 盗難・紛失時の遠隔操作機能というのが正しい解釈だわ。」
ちなみに すまほ の遠隔操作なら僕にも出来るのだ
ユーミ「シロ? 今なんて言ったの?」
カッスン「どうしたの???」
ちなみに僕とユーミちゃんはテレパシーで会話できるのだ
というか、思っている事はお互いだだ漏れなのだ
ユーミ「シロがスマホを遠隔操作できるって言い出したのよ」
だってユーミちゃん毎晩寝る時にテレビのリモコン消しといてって言うから…僕はやり方覚えたのだ
ユーミ「シロ、テレビのリモコンとスマホは訳が違う…と思うわよ」
カッスン「何? テレビのリモコンがどうしたの?」
ユーミ「実は、日頃からシロの能力拡大の可能性を探っているのだけれど、その結果、今ではシロはテレビのリモコンを操作できる様になったのよ」
カッスン「何ですって! まあ、確かにリモコンは電波で動くっぽいけれど…凄いわね、なんかいろいろと便利そう」
ユーミ「良いわシロ、試してみましょう。 このテーブルの上に置いたスマホのカメラを操作してビデオを撮影してみなさい」
僕は、なんだか難しい事はよく分からないけれど、すまほ にビデオ撮影する様に頼んだのた
聞き分けの良い すまほ はすんなりと言う事を聞いて起動すると、ビデオ操作画面になって 撮影し始めたのだ
コンピュータは大概良い子なのだ
カッスン「これは…!」
ユーミ「使える!」
二人とも、何だか目が血走っているのだ!
一体何に使うつもりなのかは、あえて聞かないでおくね!