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004話 大丈夫ですか、ご先祖様?
「諦めなさい。」
刀が振り下ろされた。俺と凛は思わず目を閉じる。終わった、何も事情を知らないままに俺の現実は壊れ、人生が終わった。
「殺させないんだけど。」
物同士がぶつかる音がした。痛みも襲ってこない。目を開けると、そこにはうちの高校の制服を着た女子がいた。
「留美…」
「あら、いきなり名前で呼んでくれるなんて光栄よ、ご先祖様。」
非現実的な事が多すぎた為だろう、転校生を妹と勘違いしてしまった。しかし、目の前の光景は止まることをやめない。振りかぶる刀を転校生は腕や足でガードする。しかしながら、斬られることなく弾き返してしまうのだ。
「いいわ、今日は引いてあげましょう。だけど覚醒さえしていない古代魔術師を庇いながらいつまで未来を守れるかしら?」
俺達を襲っていた女の足元から炎が噴出し、それが消えると姿も消えていた。少しの間転校生も警戒していたが、やがて構えを解くと俺たちに手を差し伸べてきた。
「怪我はなかった?ご先祖様?」