ラグビー部の高野
典型的陰キャの僕と圧倒的陽キャ高野の奇妙な関係。
突然だが、僕は陰キャである。高校生にもなって他人と円滑にコミュニケーションを行えない不出来な人間だ。しかし、そんな僕にも出来てしまったんだ。出来て、、、しまったんだ!!
時は遡り先週金曜日の放課後。HRが終わった後、慣れた手つきでイヤホンを耳にはめて急いで教室を出ようとする。イヤホンを四六時中はめているせいで正直中耳炎になっている気がするがお母さんに怒られると怖いし、スマホを没収されかねないので放っておいている。俯きつつ急ぎ足で教室の扉へ向かっていると突然目の前の床に影が見えた。驚いて顔を上げると目の前には短髪の大男が仁王立ちしていた。
ラグビー部の高野だ。ラグビー部の高野はこのクラスきってはこの学年の王と言える存在だ。彼がいわゆる陰キャ(いずれも僕を超える陰キャはこの学校にはいないが)と話しているところを見たことがない。
「ど、どうしたの高野君」
「おう、ちょっと二人で話したい事があってさ。このあと空いてる?」
「え、あ、うん。」
「そ、良かった。ここじゃ話しづらいからさ。ラグビー部の部室分かる?今日休みだからあそこで待っててくれない?」
「わ、分かった。」
ひぇぇぇえ~なんかめっちゃいい匂いしたし、てか、え、僕と二人で話したいことってなにぃぃぃ!!
放課後にわざわざ密室で呼び出しとかなに、襲われる、僕、スパダリキラキラ陽キャ様に処女でも奪われちゃうのぉ~?!?!?!僕の脳内はお祭り騒ぎどころの騒ぎには収まらないほどにお祭り騒ぎだった。
も、もしかして、告白とかされちゃったりなんかして~まぁ、僕はホモじゃないけどキラキラ陽キャの高野が僕のことを好きで好きでたまらないっていうんだったら悪い気はしないなぁ。
どきどきしながらラグビー部の部室へ向かう。いつも歩いている道が砂利道だとしたらこの時の僕は全ての地面がレッドカーペットかのように思えた。
「あ、ごめんお待たせ。」
「いや、大丈夫だけど、、、話したいことって何?」
「実はさ、、、あーなんか緊張するな」
え、ホントに告白だったりする?どうしようどうしよう。断ったら断ったで、イジメられそう~怖いよぅ
いや、僕も漢だ。もし告白だったのなら真剣に向き合って答えを、、、
「実はさ、俺、川井先生が好きなんだ!!」
「へ?」
「だから、川井先生が好きなんだって!!」
「えーと、川井先生って英語の?」
「そう、新任で英語科の川井先生」
「それは、、、なかなか尖った趣味だね」
「おい、今言葉を選んだろ!」
「いや、まあ、いくら若い女性の先生が可愛く見えるバフがついてても川井先生はなぁ、、、」
「やっぱり、お前もそう思うか、、、」
「ていうか、なぜそれを僕に?」
「お前がこの前読んでたラノベ。僕の、、、先生がどうたらこうたらみたいな、、、」
「あぁ~転生したら、学力、運動神経、容姿すべてが完璧だったので片思いだった先生を落として見せます~落ちこぼれの僕のざまぁ記録~略して「片先」のこと?」
「そうそうそれそれ。お前が、転生したら、学力、運動神経、容姿すべてが完璧だったので片思いだった先生を落として見せます~落ちこぼれの僕のざまぁ記録~略して「片先」を読んでるのを見てお前なら引かずに話を聞いてくれるかもって」
「なるほど」
えええええ!!転生したら、学力、運動神経、容姿すべてが完璧だったので片思いだった先生を落として見せます~落ちこぼれの僕のざまぁ記録~略して「片先」が役に立つときが来るなんて!たしかに、先生、しかもよりによってあの川井先生が好きだなんて言ったらキラキラ陽キャラグビー部ではいくら高野といえども村八分にされてしまうのかもしれない、、、同級生のピュアな相談を無下にするなんて僕にはできない!
「高野君!!」
「やっぱりキモイよな。ごめん急に」
「違う!僕は決めたんだ!絶対に君の恋を成就させて見せるとね!」
「え、ホントか?!ホントに引いてない?」
「もちろんだとも友よ!」
「友?」
「あぁ!転生したら、学力、運動神経、容姿すべてが完璧だったので片思いだった先生を落として見せます~落ちこぼれの僕のざまぁ記録~略して「片先」の知識が役に立つのならいくらでも君の手助けをするよ」
「嬉しいよ!ありがとう!!」
「まずはこれ、転生したら、学力、運動神経、容姿すべてが完璧だったので片思いだった先生を落として見せます~落ちこぼれの僕のざまぁ記録~略して「片先」の1巻。貸してあげるから今週中に呼んでくること!」
「はい!師匠!!」
キラキラ陽キャラグビー部の高野が僕を師匠呼び?!き、きもちぃいいい!!!!
「とにかく、月曜日、また作戦を練ろう!」
こうして、陰キャな僕と陽キャ高野の不思議な関係が始まった。




