初めてのデート① 沙織視点
衝撃の告白の翌日。
「今日の仕事終わりに食事でも」
社内の人間にバレないようにひっそりと付き合い出した私と佐藤くん、2人で初めての食事デートだから気合いを入れて待ち合わせ場所で待った。
「遅くなりました!」
そしてちょうど集合時間19時ピッタリに佐藤くんは息を切らしてやってきた。
「すみません」
遅刻したわけじゃないから謝る必要なんてないだろうに。それに繁忙期だから遅刻したってしょうがないのに。
「ふふ」
それでも慌てて仕事を終わらせてきてくれたのだろう。その証拠に
「ねぐせみたいになってるよ」
前髪が逆立っていた。
「あっ」
私が前髪を指さすと佐藤くんは恥ずかしそうに顔を赤くして慌てて手ぐしで前髪を直した。けど、
「んっ?」
冬の乾燥による静電気なのか前髪がうまく直らなかった。
「んん!」
それでも佐藤くんは諦めない。
何度も何度も直そうとして
「……」
50回くらいチャレンジして諦めた。
「行きましょう」
そんな佐藤くんはわかりやすいくらいに肩を落として歩き出した。
(ふふ。かわいい)
その姿が愛らしくて。でも、
「どこに行きましょうか」
歩き出すとさりげなく私の右へ立つと後ろから走ってきた自転車から
「あっ」
私を庇ってくれた。
「今年はよく冷えますね」
さりげなく。
「……うん」
森泉沙織32歳。生まれてはじめて「女の子」として扱ってもらえました。
「どうかしました?」
どうしよう。
「ううん。大丈夫」
ドキドキが止まりません。
「ありがとう」




