バレンタイン編① 沙織視点
暦が変わって2月がやってきた。
「頑張ってチョコ渡しちゃお」
「わたしはどうしよう」
バレンタインというイベントを来週に迎えて
世の女性たちが頭を悩ませている頃
「うん」
わたしは1人
「作ろう」
密かに決意を固めた。瞬に手作りチョコを渡すと。特別な理由があるわけじゃなくて、ただ日頃の「ありがとう」を伝えたいと思った。
「やろう」
ただ一つだけ難点があるとするならそれは、
わたしがめちゃくちゃ料理が苦手ということである。しかし本番のバレンタインまで1週間ある。
(今日からさっそく練習だ)
まだ時間はある。
だからなんとかなるって本気で思ってた。
………
……
…
バレンタインに向けてチョコ作りを始めて6日が経った。作る品目はガトーショコラ。
「まずは麺棒で細かく板チョコを」
麺棒を高々と振りあげて
「砕く!」
スイカ割りのごとく一振りで板チョコを粉々にした。
「砕く!!」
パァン!と炸裂音と共に板チョコをおおう銀紙が破裂して、割れた一部のチョコが飛び散ってしまった。
「そうしたらボールに入れて電子レンジで溶かす」
しかし細かいことは気にしない。
サクッと次の作業でチョコを溶かしたら、そこに牛乳と卵を加えて混ぜて、次にホットケーキミックスを加えてまた混ぜる。
「わっ」
けど、ミキサーをつっこんだら飛び散ってしまった。頬に卵とチョコとダマになったホットケーキミックスがついた。
「できたら」
だけど気にしない。自分が不器用であることは知ってるから。混ぜ混ぜ。
「型に流し込んで」
予熱したオーブンへ入れて焼いていく。
「ここまでは順調」
キッチンはすでに汚れすぎて大掃除が必要だけど、でも初日のあの惨状に比べれば全然マシ。
だから順調、ということにしておく。
「っ!」
しかし焼き上がったガトーショコラを取り出したらなぜか
「また燃えてる!」
引火して火がたちのぼっていた。
「……って消さないと!」
わたしは慌てて流しに入れて水で消化した。
「なんで」
レシピ通りに作ってるのに
「なんでこうなるのぉぉ!」
まともなガトーショコラができない。




