仕事始め② 沙織視点
「私の分までやってもらってすみません」
そういうと
「それじゃあ私は帰りますね」
江藤さんは定時であがっていった。
「はぁぁ」
今日も注意できなかった。
"君がしっかりしないから
いつまで経っても仕事を覚えないんだ!"
係長からも強く言われてるのに。
「……はぁぁ」
注意しなきゃいけないことはわかってる。
わかってるのに……。
"私と沙織ちゃんは友達じゃないよ"
(いつまであの頃のことを引きずってるんだろ)
でも、怖い。
全てをさらして仲良くなれたと思った。
なのにそう思ってたのは
"そう思ってるのは沙織ちゃんだけ。
私は友達なんて思ったことないよ"
そして孤立して、私はずっと1人だった。
またそうなるのが怖い。そうなるくらいなら
"これよろしくね"
"私のやっといて"
全部1人でやってしまった方がマシ。
(……仕方ない)
そう思って仕事を再開しようとしてスマホが鳴った。いっしゅんのバイブレーションだったからテキストメッセージだ。
(誰だろ)
ポケットからスマホを取り出して通知を確認したら
(瞬からだ)
画像が送信されました、ってなっていたから気になってアプリを開いた。
(……ぷっ!)
そうしたらそこには瞬の変顔の画像が3枚あって
あまりのクオリティに思わず
「くっ、くくく」
吹き出しそうになってしまった。
オフィスには私以外に10人くらい残業してる人がいたからなんとか耐えたけど。
(き、急になんで?)
あまりに突然のことに笑いながら戸惑ってしまった。そうしたら追加でメッセージが送信されてきた。
"顔が怖いよ。笑ってこーぜ"
短く。それを見て私はパッと顔を上げて瞬のデスクを見たらスマホ片手に変顔したまま私を見てた
(ぷっ!くくく)
それにまたツボってしまったけど、
笑い終えた頃には私の心は晴れていた。
(そうだ。私はもう"1人"じゃない)
1人じゃない。今はもう心強い味方がいる。
そうして私は翌日、
「江藤さん。今日は私も手伝うから書類の書き方を覚えてもらいます」
「えー」
仕事を嫌がる江藤さんに
書類の作り方を一から教えた。
(どんなに嫌がってもできるようになるまで
何度だって教え続けるからね)
わたしはもう1人じゃない。




