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年末もうで② 瞬視点

昔から会社を継げる優秀な人間になれるように、と勉強づけの日々を送ってきた。


「これが甘酒……」


だから初詣なんて、その初詣で定番で配られる甘酒なんて人生で初めてだった。


(一説によれば甘すぎて一回でも飲めば虜になって飲みすぎて糖尿病になってしまう恐ろしい飲み物だとか)


そんなふうに思ってた。でも、紙コップの甘酒を揺らして匂いを嗅いだけど、そんな甘い匂いなんてしなかった。


「あったまる」


それに沙織がぼくの隣で美味しそうに飲む姿を見てたら。


(ううー、っしょい!)


虜になって飲みすぎてしまって、とか色々と不安になったけど、モノは試しと勢いに任せて飲んでみた。


「……甘くない」


そして結果的に分かったのが


「甘酒って甘くないんだっ!」


むしろ程よい甘味とトロトロ、お米の食感とかが楽しいし美味しくて気づけば


「……もう終わっちゃった」


幸せって一瞬だ。それはまるで散りゆく桜のように儚ないもので、本当に一瞬だった。もっと飲んでみたかった。


「ふふ、あげる」


そんなふうにコップを眺めてたら沙織が笑って


「……いいの」


自分の分の甘酒をくれた。


「いいよ」


ぼくは沙織からもらった甘酒を大切に飲んだ。


「ふふ」


そんなぼくをみて沙織は微笑む。

ぼくに対してときどき母のように接する。


「おいしい?」


それが嬉しくもあるけど、同時になんか子供っぽい自分を見られることが恥ずかしくもあった。


(好きだなぁ)


だけど、もっとぼくのことを知ってほしい。

そう強く思った。

その日、初めて朝帰りをした。

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