初めてのすれ違い⑧ 瞬視点
「本当にごめんなさい!」
そういって沙織さんは下を向いた。
(……え)
一方のぼくは
(ええ!この1週間避けられてたの!?)
思い当たる節が全くなくて驚いてしまった。けど
"どんな顔してあったらいいかわからなくて"
そうか
"佐藤くんみたいなモテる素敵な人とうまく付き合えるか不安もあって"
そんなふうに思ってたんだ。
「実はぼくも」
ぼくは下を向いたままの沙織さんの手を握って
「今まで誰とも付き合ったことがない。というよりも初めて好きになったのが沙織さんで、その、沙織さんとうまく付き合えてるか不安でした」
自分の思ってたことを伝えた。すると
「……そうなの?」
そしたら沙織さんが顔を上げた。そのひとみにはぼくがうつっていて目の端には涙が滲んでいた。
(同じだった)
ぼくはその涙を手でぬぐった。
「だからメッセージを送るのも迷惑じゃないかなとか、社内で見かけた時にどう話しかけたらいいかわからなくて避けてしまったり」
って話してて思い返すと
(27歳にもなって何やってんの!ぼく!)
自分のしてた行動を口にするのがなんか恥ずかしくなってきて。そんな照れてる顔を見せたくなくてそっぽを剥こうとしたら
「同じ、だったんだ」
ってぼくをまっすぐ見る沙織さんから目が逸らせなくて
「はい」
って真っ赤な顔を見せたままうなずいた。
(……まあ、いっか)
見られたことは恥ずかしかったけど、
嫌ではなかった。
「そっか」
そういうと沙織さんは頬を上げて小さく笑った。
嬉しそうに。だからつられてぼくも
「はい」
気づいたら笑ってた。




