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小説家になろうラジオ大賞

オルゴールが鳴ったら俺の出番!~俺が幼馴染のヒーローになるまで~

作者: 来留美
掲載日:2025/12/09

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

 俺の幼馴染は、自分の気持ちを人に伝えることが苦手だ。

 俺には何でも言えるのに、友達やクラスメイト、先生にも言えない。


 そんな彼女の心は、少しずつ弱っていった。

 言いたいのに言えない自分を責めていた。


 俺にまで気持ちを伝えることを拒みだした。

 このままでは彼女はどんどん弱り壊れてしまう。

 だけら俺は対策を練った。


 それが、掌サイズのキーホルダーにもなる、猫の顔の形をしたオルゴールだった。


「これは、普通のオルゴールじゃないんだ」


 俺は彼女に言ってシルバーのネジを巻く。

 手を離しても音は流れない。

 ネジはゆっくりと回っているのに音が流れない。


 彼女はオルゴールに耳を当てたりしているが、何も聴こえないようで驚いている。


「これが、このオルゴールの特徴なんだ」


 そう俺は言って、もう一つ同じようなオルゴールを右手の掌の上に乗せ、彼女に見せる。


「この二つのオルゴールを近付けると、俺の右手にあるオルゴールが鳴るんだ」


 彼女は音が流れだしたオルゴールを手に取り、耳に当てて聴き()っている。


「そのオルゴールにはネジがないんだ」


 彼女は俺の言葉を聞いて、裏表とオルゴールを見ている。


「このオルゴールは二つで一つ。一度近付ければ、離れていても片方のネジを回せば、オルゴールが鳴るんだ」


 彼女は驚きながら俺を見た。

 だから俺は彼女に伝える。


「君が苦しくなったら、オルゴールのネジを巻いてよ。そうすれば俺のオルゴールが鳴って、君の元へ俺が行くから」


 俺が彼女の目を見つめながら言うと、彼女が嬉しそうに笑った。

 その直後、音が止まった。

 ネジも止まっている。


 沈黙が流れるのに、気まずい感じも、嫌な気分にもならない。

 ただ彼女が安心した顔で俺の隣にいる。


 それだけで良かった。


 少しずつ彼女の心を軽くしてあげたい。

 彼女が、自分の気持ちを伝えることができるようになればいい。



「えっ、何でこんな時に?」


 彼女がオルゴールを鳴らした。

 俺は急いで彼女がいる隣の部屋へ向かう。


「どうしたの?」


 俺はそう言って彼女を見て、言葉を失った。

 だって彼女が美しすぎるからだ。


 凄く美しい彼女は不安そうに俺を見ている。

 今にも泣き出しそうな彼女に近付き、頭を撫でた。


「オルゴールは、今日が最後だよ」


 彼女は不安そうに俺を見上げる。


「だってこれからは、ずっと君の隣にいるからね」

「ありがとう。大好きだよ」


 彼女はウェディングドレス姿で、幸せそうに笑った。

 俺はこの顔を隣でずっと見ていたい。

 好きだから。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。

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