俺に癒しを!#2 テンセイ
前回のあらすじ!
トラックにひかれ死んでしまった主人公 山田 勇気!
近づいて来る音に目を覚ますと……!
音がすぐそこまで近づいてきて、それまでなかった五感が戻った。目を開くと目の前に深い霧が広がっていることに気づく。それよりだ。状況を確認しよう。俺は確かにトラックに轢かれて死んだ。死後の世界ということになるのか。これを現世に伝えられたらものすごい財産になりそうだ…ついてない。
…目の前に気配を感じた。しかし、それはなぜか懐かしい空気を帯びた気配であった。
「ゆうちゃん……覚えてる?」
「かっ…っっ母さん…!」
走馬灯って奴なのか?目の前の状況に対して俺の脳は以上に稼働した。結果、俺はボロ泣きして膝をついた。母も涙を流し、にこりと笑って見せた。
ひとまず落ち着いて、
「母さん、ここはどこ。?」
「落ち着いて聞いてね…。あなたは、確かに死んでしまったの。でもそれはあなたのためだったの。」
確かに着いてない日々から解放されるならいいかもしれない。そんな思いが頭をよぎった。
母さんが続ける。
「ここは、死後の世界。死者を女神がここで迎えて魂が転生する世界を選び出すのよ。」
やっぱりそういう世界らしい。んな漫画みたいな…
……女神が迎えに来る…!?女神……まさか……!
「そのまさかよ!実は母さん女神になったのよ!すごいでしょ!」
んな呑気に言われても…
「あなたの死は女神の協議会で決まったことなの。
これからあなたは69年2ヶ月生きる予定だったけど死ぬ瞬間さえもあなたは不幸なままだったの。」
マジかよ。俺が何をしたって言うんだ。
「マジよ。だからせめて今死なせて転生後は宇宙一幸運にしてあげようって決断になったのよ。」
ありがたいことだが、その前に母さんは2回ほど俺の心を読んだような発言をしている。俺の母親は本当に女神様になったようだ。
「さて。本題に入るわよ。あなたはどんな世界を望むのかしら。このリストから選んでくれればどれでも可能よ。」
第1〜第1020000000000の数から決めろと言われても。しかし、やっぱこう言う手の転生は最強の能力で仲間と共にモンスターと戦うファンタジーがいいなぁ…ぼんやりと考えていたら母さんが、
「じゃあここなんていいんじゃないかしら。」
と言ってリストに触れると勝手にページがめくれて、一つの世界が映される。
「ここならあなたが望む通りの冒険ができるわよ!定員も空いてるし!」
定員とかあるんだ…
「もうすぐいけるけどどうする?」
「……母さんとは…また会えるの?」
「会えるわよ…死にさえすれば…(笑)」
ジョークのつもりなのか…死ぬのは嫌だな…
「大丈夫よ!その時は何度でも蘇生許可を出すから!」
頼もしいものである。
「じゃあ、もう行こうと思うけど、どうやって行くの?」
母は少し待ってと言い、霧の奥から大勢の人を連れてきた。俺の周りにチョークみたいなので魔法陣的なのを描いているようだ。
「ふぅっ!描き終わったわ!中々力作よ!」
「へ、へぇ〜…」
「あ!そうそう忘れてたわ!二つ目の質問よ!ありきたりな質問だけど、向こうの世界ではあなたはどうなりたいかしら。これはなんでも大丈夫よ!」
母さんが言うには恐らくもう超幸運のバフは準備がしてあるだろう。ならば……悩ましい。
これは大変頼みづらい…が!覚悟を決めよう。
「…可愛い仲間が欲しい……です…//…」
正直ねぇ〜と母は笑った。
「それじゃ、もう行くよ!」
俺は実のところ心底ワクワクしている!
夢にまで見たファンタジー世界!それも最強能力つき。可愛いパーティメンバーも約束されている!
「それじゃあ、元気でね!死んじゃダメよ!」
母はそう言うと、魔本陣に触れた。
魔本陣は冬の空のような澄んだ青色に光り、
眩い光が俺を包んだ………………。
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…………鐘の音が聞こえる。ふわりと包むような感覚を覚えた。目を開く。俺はベッドで寝ていた。
周りを見渡すと斜め後ろにこちらを見て驚いている女性がいた。
「お父様〜!」
そう言って慌てて走って行った。
本当に始まったようだ。俺の転生ライフ!
どうなるのだろうか……。