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第5話 嵯峨野巡り③ 常寂光寺

写真があります。

 狭い道をしばらく歩くと、左側にお寺が見えてきました。


 次の目的地、常寂光寺じょうじゃっこうじ(拝観料500円)です。




 常寂光寺は、藤原定家が百人一首を編纂した、小倉山荘時雨亭の跡地とされています(※二尊院説もあり)。


 国の名勝に指定されており、紅葉の名所であるとともに、重要文化財の多宝塔、ひなびた三門(仁王門)、そしてその脇の山肌を覆う、美しい苔の絨毯。見どころが多い寺院です。しかも、嵐山・嵯峨野のメインストリートから外れているので、さほど観光客が多くない(※少ないわけではない)ところもいいです。



 私は高校時代、修学旅行の嵯峨野巡りで初めて訪れたのですが、当時は『時雨亭跡は二尊院』というのが定説でしたので、常寂光寺は本物の穴場でした。


 そして、当時の拝観料は『こころざし』(※いくらでもいいという意味。高校生はただで入ろうとするからと150円取られた。げせぬ)。しかも『常寂光寺の四季』という絵はがきまで付けてくれました(※今はもらえません)。この心意気に感じ入ったこともあって、今でも京都に行ったときは、「必ず」と言って良いほど立ち寄っています。


 今では、『時雨亭跡=常寂光寺説』が有力となり、観光客が増えてしまいましたが、その良さに変わりはありません。





 早速、門前で拝観料を払うと、紅葉の境内に足を踏み入れました。


 こちらも紅葉は散り始めていましたが、天龍寺・大河内山荘と比べると幾分色濃いように感じます。また、散った紅葉の絨毯が、苔の絨毯に重なって、えもいわれぬ風情を醸し出してくれています。


 その雰囲気を楽しみながら石段を登り、まずは重文の多宝塔を目指します。





 急な石段を登り切ると、あ、いました! ちりめん山椒の『こと路』さんです。


 京都のちりめん山椒と言えば『やよい』『はれま』の2大老舗が有名ですが、『こと路』も決して味では引けを取りません。逆に歴史が浅い分だけ、企業努力によって味自体は上にいるかもしれない、そんなことを感じるお店です。



 この『こと路』さん、どんな関係があるのかはわかりませんが、シーズンには毎年、常寂光寺境内に出店しています。今回は平日なので期待していなかったのですが、きっちり出店しておりました。これで自宅へのお土産は決まりです。



 とりあえず試食をさせてもらい(相変わらず旨い!)、ちりめん山椒、そして、昆布山椒という新商品を買いました。



 多宝塔に行ってから買っても良かったのですが、客が多くなると買うのが面倒になってくるので、すんなり買えるときに買ってしまいました。たいした重さでもありませんので。




 ちょっとだけ荷物を増やした私は、山肌に作られた階段を上り、山の中腹にある多宝塔を目指します。



 この階段、段の端の崩れては困るところは、石や木材で補強されているのですが、崩れようのない中央部は、土が剥き出しになっています。


 そして、この日は朝まで、まとまった量の雨が降っていました。と、なると、どうなるか。もうお分かりですね。そう、ここからまた泥道です。



 始末の悪いことに、そんな路面状況に気付いたのは、もうかなり進んでから。こんな道を進むのも嫌ですけど、ここまで来たら引き返すのも嫌です。そして、他の客もいるので、悠長に立ち止まって考えていては迷惑です。



 うだうだ悩んでいるうちに、いつの間にか多宝塔に着いていました。



 ここは京都市内がよく見渡せる絶景ポイントなんです。が、やっぱりどんよりと曇っていると、見映えがしませんね。


 ですから、今日の感想は「まあ、良い運動になりました!」です(苦笑)。





 山から下り、本堂裏の池に散る紅葉を暫し眺め、さて、帰ろうかな? と思って、本堂をちらっと見ると『秋の特別拝観』の文字が!



 拝観料は500円です。


 常寂光寺は名勝ですが、それは庭園のことでしょう。また、多宝塔以外に重文クラスはなかったはずです。


 こういったことを考えると、500円はちょっと高い気がします。



 が、何度も来ているのに、今まで一度も見たことのない、本堂の中が見られるのはちょっと惹かれます。しかも、ほとんど入っている人間はいなそうです(※実際、中に客は2人しかいませんでした)。境内の人出に比べて、明らかにいているのも高ポイントです。



 と、いうことで、思い切って入ってみました。拝観券は、何と御札おふだ。金閣寺・銀閣寺みたいカッコいいです。



 結果を言うと、本堂内に、「うおおおお!」と叫びたくなるような、ものすごい物は存在しませんでした。でも、普段は見られない庭の奥を、ゆっくり畳に座って、しかも観光客ゼロの状態で眺められたのは、大きな収穫でした。


 しばらく喧噪から外れ、誰もいない紅葉の庭を楽しみ、十分に満足して本堂を辞しました。






 突然ですが、常寂光寺は、拝観のための出入り口が異なっています。行路は三門正面の急な階段を上るのですが、帰路は、三門の脇に下る坂道を通ることになっています。


 この坂道から三門を眺めた写真は、JR東海の有名なあのキャンペーンにも使われたほどの絶景です。ただ、あのシーン、普段はなかなか見られません。人がいっぱいいて(笑)



 ところが、ここで奇跡が起こりました。普段だったら観光客でごった返すはずの山門付近が、完全に無人の瞬間が現れたのです。春や冬ならともかく秋で、こんなことは今までありませんでした。その奇跡の瞬間がこちらです。

挿絵(By みてみん)






 今日一で良いものが見られました。これは、先ほど貰った御札の効果だったりして?

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