もう一つの神
そんなレグムートとセバスチャノスの会話を確かめる様に、バルザンが聞いた。
「ヘル・ガーディアス、お前は何者なんだ?殺す前に知っておかなくては。」
「下らぬ事を聞くな。ワシはワシじゃ。」
「お前が見下り半をつけた人間に殺られる気分は、さぞかし最悪だろうな?」
「ワシは人間の汚い欲望が生み出した邪神じゃよ。」
「と言う事は、この世界に神様はいないのね?」
「正確には…。ワシはウェザースの神の半分側とでも言える。まぁ、神はワシを生み出して後悔しただろうな。」
「ヘル・ガーディアス、何故お前はこの俺たちと戦うのだ?」
「それは愚問だ。ワシはSSTT軍を使いわざと戦争を起こした。負のエネルギーを得る為に。」
「じゃあ貴方の本意はそうなのね?分かり合うのは無理なのね?」
「ヴィーナスはワシの天敵だった。だから下らぬ事を聞くな。そこまでの覚悟があるならワシを倒して、ラスト・ヴィーナスになってみろ!」
「この剣は神々の作ったものなのか?」
「フッ。その剣はワシを倒す為の秘剣じゃ。この阿修羅ソードもな。」
「とりあえず、この世界では不適応な存在って事は、分かった。」
「知りたい事は、それだけか?そろそろお前達を殺めても良いか?」
「こんなクズが支配する世の中なんて絶対やだ。」
「この戦乱で死んでいった者の為にも、ヘル・ガーディアス、お前は葬らねばならぬ存在だ。」
「フッ。ワシが殺したもう一つの神もそんな事を言ってたな。今となってはどーでも良いが。」
「ねぇ?貴方本当は寂しいんじゃない?」
「いや。そう言う感情はワシにはない。」
「後悔するわよ?貴方そんな事したら。」
「神の決定におとなしく従え、愚民どもが‼」
「嫌だわ。貴方のもう半分の正義の部分が残したヴィーナスの導きにかける。」
「ほう、ラスト・ヴィーナスになる決意が出来た様じゃの。」
「茶番はこれまでの様じゃな。」
「そうかもな。」
「サエ、準備良い?フルスロットルで行くわよ!」
「後に退けないのは御互い様の様ね。」
戦況は口撃も終わり、いよいよ最終局面を確かに迎えつつあった。




