サンエンジェルステッキ
その女神が現れるのが、以前に大災難のあったのが、ウェザース歴999年3月10日~17日頃と推測されるため、その1000年後にあたる現在のウェザースにラスト・ヴィーナスが現れる。それが大方の予想であった。場所は、KDAOの角に有るクラウォース平原であった。
そこに現れたのが、雲中良好と言う訳である。彼女が目を覚ました時にバルザンが来たのは、偶然だった。バルザンは所要でクラウォース平原近くの民家を訪れていたのだ。その帰りに良好を発見、身分証明を確認していたのだ。まぁ、ウェザースではまず見ないセーラー服に短いスカート。アースでも絶滅危惧種のルーズソックス。バルザンには直ぐ分かった。
良好は、詳細な事は何も知らされずウェザースに来た為、全ての疑問をマシンガントークでバルザンに聞いたが、バルザンはKDAOの騎士団長にすぎない。その為、クラウド王の元に連れて行き詳細な質問に答える事にした。やれ、元の世界に帰りたいだの、自分は何をすべきかなどと駄々をこねるものであるから、バルザンもクラウド王も手を焼いた。彼等は良好に知っている事の全ての話をした。良好は自分がこのウェザースの危機を救う為にアースから転生し、救世主としてトルネード皇帝を倒す事を悟る。
だが、バルザンやクラウド王には答えられない良好の質問が一つだけあった。それは、どうやって元の世界に戻るのかと言う事であった。前回の女神がどうなったかを記す書物は魔法印で封印されているから、分からないのである。また、バルザンやクラウド王にとっては、女神は神からの授かりものであるから、良好の言う"元の世界"とは何かを知る筈もなかった。バルザンとクラウド王は、良好に対してこう告げた。
「KDAOに伝わる伝統のステッキ(杖)です。お使い下さい。」
すると、良好はこう答えた。
「何よ。そんな杖で世界を平和にしろって、無茶ぶりも良いところよ。」
「まぁ、そうおっしゃらず。この宝玉を杖の先端にはめ込めば様々な呪文が使える様になります。詳しい事は、このヴィーナステッキ手引きの書である女神の書を読んでください。」
クラウド王は黄色い宝玉を良好に渡した。
「なっ何!?」
まばゆい光が放たれ神様が良好に話しかけた。
「あ~あ。だりぃな。もう1000年経っちまった系?」
良好は誰が自分に話しかけているのか分からなかった。クラウド王もバルザンも、不思議そうな顔をしている。バルザンは直ぐに助け船を出した。
「女神様、杖ですよ。その声の主。」
それを聞いた良好が口を開いた。
「はぁ?何で杖ごときが話せんのよ?」
良好はイライラ感を全てその杖にぶつけた。
「杖ごときが何よ!」
「お前みたいな出来損ないのJKを連れてきたのはこの私だぞ?それにこのウェザーステッキは、ウェザースの4大聖武具のひとつサンエンジェルステッキだぞ?何か貴方いけすかなそうだけど、一応よろしく。」
そう言われると、良好はぶつぶつ文句を言いながら、よろしくと呟いた。




