レジェンド・ヴィーナス
その頃。KDAOではHRKのハウザー大統領の救援要請の文書がクラウド王の元に届いていた。それを受けて、クラウド王とクラウディアス騎士団長レッドスター・バルザンとの会話の様子である。
「これはちと、不味い事になったのう。」
と、クラウド王は言った。
「して、文には何と?」
と、バルザンは聞いた。
「8万人のHRK軍に対して、70万人のSSTT軍。この如何ともしがたい、差を埋めるためには、KDAOに援軍を出して貰いたくこの文を書いた次第である。返答は貴国軍隊の援軍が来るか来ないか、それで判断する。では失礼…。」
クラウド王はバルザンに文の内容を伝えた。
「この文は、きっとハウザー大統領が書いたものと見て間違いないでしょう。非常時でなければ、この様な失礼なフェイクニュースは破るべきものでしょうが…。今はその様な事は言ってられませんね。陛下!どのくらいの規模の援軍を送ればよろしいでしょうか?」
バルザンは、クラウド王に尋ねた。クラウド王は答えた。
「一刻の猶予もないぞ。どうせSSTTは、HRKの次はうちに来るんだ。全軍に援軍の準備の指示を伝えろ。」
「御意。」
そう言うと援軍は約40万人もの大軍勢を率いてHRKに出発した。だが、援軍の中にバルザンの姿は無かった。とある人物を待っているからであった。バルザンの代わりに司令官を務めたのは、バルザンの弟で副司令官のバルザランドである。37歳の若さにして、階級は少将。中将相当の軍人はKDAOにはいなかった。その為、援軍の総大将となった。
それはさておき、バルザンとクラウド王が待っていた人物は、実は彼等も全く知らなかった。だが、現れる場所と、おおよその日付だけは分かっていた。その人物はKDAOに古くから伝わる言い伝えが関係していた。1000年に一度、ウェザースには必ず災難が訪れる。その災難から国を救うラスト・ヴィーナスが現れ、ウェザースの人民は救われるだろう。と言う趣旨の伝説があった。
ウェザース歴は、1999年だがそれは正確なものではない。正確な暦は考古学者位しか分からず今年がウェザース歴2000年と言う説が有力である。1000年前には、記録によればパンデミックが発生し、人民の50%が死亡したが、ラスト・ヴィーナスの持って来たワクチンによりパンデミックは終息したと、記録に残っている。
ウェザース歴が正確なものではないとしても、少なくともこの一年以内にラスト・ヴィーナスが現れる可能性がある。それがクラウド王とバルザンの見解だった。




