火攻め
対応したのは第一方面軍のブラックホール・レグムートであった。厳密に言えばレグムートの指揮下の第一方面軍第八遊撃軍一万人であった。数だけ見ればSSTTの20倍の大軍であった。それでもブレイコンを持つアニマライズソルジャーに対しては、大苦戦を強いられた。戦闘は二週間近く立ったウェザース歴1999年12月下旬に第一方面軍第八遊撃軍が5000人の犠牲を出して鎮圧した。この結果に喜んだのは、ゲリラ・ゴウリュウ所長とヘル・ガーディアスであった。単純計算で10倍の戦力を討ち取れたのであるから。
それから2ヶ月ウェザースでは束の間の平穏が続いた。真冬の行軍は得策では無いと判断したSSTT司令部が更なるアニマライズソルジャーとブレイコンの増産を謀ったからである。これはSSTTには有利な状況であった。
だが、データをとっていたのはSSTTだけでは無い。AKHも先の戦闘での反省をしていた。制圧に時間がかかったのは、アニマライズソルジャーの怪力から繰り出されるブレイコンの強烈な一撃によるものが大きいと分析して、ウィークポイントを研究していた。いずれにせよ、SSTTもAKHも、春が来るまでは大規模戦闘は無い。と踏んでいた。ただ今違いがあるとすれば、SSTTは数的不利は余り考えていないし、AKHは春になったら確実に仕留める。そんな情報共有を各国首脳は考えていた。とは言え、その見通しが当たるかは分からない。
良好は第四方面軍の名ばかり司令官として、腰を据え、もうこの頃になるとウェザースでの戦いにも慣れ、聖武具サンエンジェルステッキの扱いも板について来たのであった。ただ、未だに自分が伝説の女神だと言う自覚は無かった。この少女がウェザースの希望の星になるなど、誰が予測しただろうか?
ウェザース歴2000年3月下旬、SSTT攻略の為四方面軍の配置換えが行われる事になった。攻撃の主力は第一、三、四の三方面軍で行い、バルザン率いる第二方面軍がKDAOで、守りの要に据えるとした。また、アニマライズソルジャーに対しては火攻めを活用する事が決まった。火はアニマライズソルジャーの最大の弱点だからだ。これを元に、火矢の配置を指示。アニマライズソルジャーとは言え、生身の動物。火は天敵だ。それを見抜くのに時間はかからなかった。




