黒幕
SSTTを暴走させたのは、現トルネード皇帝のタイフウノ・メルザンティスと、ホワイトジュエル・ガムノイアー大将、ホワイトタイガー・エクセムの三人が起こしたクーデターが原因だと言う事は既に述べた。この三人を影で操っていた所謂黒幕の様な存在である男の正体が判明した。
ヘル・ガーディアス。それが彼の名である。どこからともなく表れた出自不明の彼こそがSSTTを暴走足らしめた存在である。腰に帯びたその剣を抜く事は滅多に無いが、剣の腕も確かなものであった。阿修羅ソード、それこそがヘル・ガーディアスの持つ剣の名である。人身掌握術を持っていたヘル・ガーディアスは、表立って動く事は無かったが、タイフウノメルザンティス皇帝やガムノイアー大将、エクセム司令官を影で操っていた。ヘル・ガーディアスが現れてからSSTTはおかしくなった。
AKHは、まだ今の段階では、この一連の事件の元凶である、ヘル・ガーディアスについての情報は得ていなかった。この男を倒さなければ、アニマライズされたSSTT兵を倒しても無意味であった。それは、病気の元から取り除かねば、再発してしまうのと同じ原理に近いものがあった。
そのアニマライズをゲリラ・ゴウリュウ所長に授けたのも、数年前にSSTTをヘル・ガーディアスが訪れた際に渡したものであった。それをゲリラ・ゴウリュウ所長のSSTT研究班が完成させたのであった。ヘル・ガーディアスが最も危惧していたのは、女神と三騎将の四人であった。一騎当千に相応しい彼等には並の兵士では太刀打ち出来ない。二、三戦アニマライズの実戦テストを行ったが、それほど有効な成果は出し切れておらず、研究班はさらに研究を重ねた。また、ヘル・ガーディアスにとっては矢面に立てない事情があった。
そこでヘル・ガーディアスは、AKHとの戦争で、優位を保つ為にゲリラ・ゴウリュウ所長にヒューマンアニマライズの技術と併用して使う為の武器であるアニマライズウェポンの開発を指示した。数的不利はそれで解消出来るはずであった。試行錯誤の結果、三節根のようなものに両刃をつけた"ブレイコン"が完成した。この武器により、AKHは苦戦するとは、ゲリラ・ゴウリュウ所長は予想していなかった。まだ量産化には至っておらず、研究班はブレイコンの量産化に着手する事にした。
時はウェザース歴1999年12月初旬。冬と言う季節的要因を生かし、ヘル・ガーディアスの指示で動いていたホワイトジュエル・ガムノイアー大将が多数のアニマライズソルジャーを率いて、東エリアの比較的防御の薄いAMTOCに攻め入った。




