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ホワイトジュエル・ガムノイアー

 ホワイトジュエル・ガムノイアー…。

 彼こそ、SSTTを大陸最強国家と言わしめるまでに、成長させた張本人である。ガムノイアーが、ホワイトジュエルの称号を得るまでには、紆余曲折があった。

 先代ホワイトジュエルが亡くなった時、次に称号を得るのは、エクセムかガムノイアーのどちらか意見は割れていた。ただエクセムをクーデターの首謀者にしたかったタイフウノメルザンティス皇帝の意向もあり、当時少佐に過ぎなかったガムノイアーを中将まで四階級特進させて、ホワイトパールの称号を得た。ホワイトパールとは、ホワイトジュエルとまではいかないが、将来的にホワイトジュエルの称号を得る資格のある者に与えられる。現在はエクセム遠征軍司令官がホワイトパールの称号を保有している。

 タイフウノメルザンティス皇帝の小賢しい政局の為の昇任であったり、実力に不釣り合いだと、なんやかんやでガムノイアーがホワイトジュエルの称号を得るのに5年はかかった。奇しくもある者と同時期の昇任であった。

 ガムノイアーは、SSTT軍を大改革して、部隊を性根から叩き直した。そうする事が、自分の存在感を示す事につながり、フラストレーションを発散する狙いもあった。軍の底上げに限らず、その合間をぬってトルネードランス(聖武具)による槍術の技量を上げる事によって、ホワイトジュエルの名に相応しい武人であろうとした。オリジナルのガムノイアーは、ウェザース歴1999年になっても、ギラギラした野望も殺気も、そう言ったものとは無縁であった。寧ろ国家国民の為に、SSTT軍をお預りしているという感じである。大改革を実施していたガムノイアーであるが、タイフウノメルザンティス皇帝の指示でエクセム遠征軍司令官と手を組み、穏健派であった先代皇帝オルトコロンを暗殺して、クーデターを起こした事によって風向きが変わってしまった。

 だが、それもある者の指示であった。ホワイトジュエルの称号を得ていたタイフウノメルザンティスが皇帝になると、一介の士官に過ぎなかったエクセム司令官にホワイトパールの称号を与え、蚊帳の外のガムノイアーにホワイトジュエルの称号を与え、国民には先代皇帝オルトコロン病死と発表された。それから、ガムノイアーは狂った様に殺戮を繰り返した。決してエリート街道の真ん中を歩んで来た訳ではないが、下士官からコツコツと叩き上げてきたSSTTの指揮官として先陣をきっていた。ある者の手の平で踊らされていたとは知らずに。

 SSTTの暴走はガムノイアーの暴走共言えた。四騎将(オルトコロン在任時)の中で現場からの叩き上げは、ガムノイアー以外にはいなかった。40代前半の圧倒的な威圧感を持った大男は、いつしかこう呼ばれる様になっていた。"磨き抜かれた光輝くSSTTの至宝"と。しかし、その至宝は、最低の形で最悪のタイミングで、最も不運な使い方をされてしまう事になる。時や場所が違えば、名君として歴史に名を残していただろうが、そう思うと悔やんでも悔やみきれない。

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