表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/97

上級呪文

 同盟を結ぶとは言え、困った時に直ぐ助太刀するとか、その程度のものであり、ウェザースはアースと同程度の面積を持つ惑星である。移動にはそれなりの時間がかかると言う課題があった。援軍要請があっても可及的速やかに軍を派遣するには、飛行機でも作らなければ大軍を東へ西へと展開するのは難しかった。

 KDAOがSSTT遠征軍(ストーム・スノー・エクセム司令官)の急襲を受けたのは、三国同盟について話し合う会議にバルザンとバルザラントが不在時の事であった。ウェザース歴1999年6月20日の事だった。クラウディアス城には、良好しかいなかった。バルザンは成長した良好に、不在時にクラウド王を守る役目を申し付けた。

 一般の兵士もいたが、バルザン兄弟に比べれば、月とスッポンの様なものである。SSTT遠征軍は、タイフウノメルザンティス皇帝から失敗は許されないと、背水の陣でKDAOに乗り込んできた。良好は焦った。しかしそれは、段々和らぎ妙に落ち着いた自分がいた。無論、バルザン兄弟にも本国に至急戻るよう伝言は伝わっている。

 だが、今の良好ならバルザン兄弟の力を借りなくてもやれるぞと、抑えられると、確信していた。そう思っていたが、先の事まで見通す余裕は無かった。それに、必ず同盟国の何処かが助けてくれると言う一種の甘えがあった。

 こうした甘えは、命一寸の戦いにおいて、冷静な判断を迷わせるものになる。それを見ていたクラウド王がこう言った。

 「良好様、戦いにおいて、余計な雑念があっては戦えませぬぞ。雑念を捨てるのです。」

 その一言で良好は目覚めた。

 「ありがとう。ちょっと外の敵やっつけてくるから、クラウド王はここにいてね。」

 「外は危険じゃぞ?それでも行くのか?」

 「勿論、それがヴィーナスの仕事でしょ?」

 「気を付けるんじゃぞ。」

 「クラウド王は自分の身は自分で守ってね。」

 すると良好はポケットナイフをクラウド王に渡して戦線に加わった。

 「南雲大佐、現状は?」

 「貴方は?…バルザン将軍の御付き人の少女?」

 「見ての通り劣勢ね。こうなったら上級呪文を使うしかないか。」

 すると、良好は天に祈りを捧げた。すると雲色が変わった。

 「フレイムシャワー!!」

 「クエイクランガー!!」

 「ダイダリング・ウェイバー!!」

 良好はたった一人でストーム・スノー・エクセム司令官率いるSSTT遠征軍を退けた。残ったのは、エクセム司令官率いる部隊だけになっていた。

 「おのれ、小娘。次に会う時は覚悟しておけよ。」

 この戦いでSSTT軍4万人が死亡した。退いていくエクセム司令官の目にはクラウディアス王国がかくまう、あの少女がキーパーソンである事に気付いた。AKH崩壊の序章を食い止めた良好は、正式にKDAO騎士団中将の位を授けられた。バルザラントが少将デあるから良好は事実上のNo.2と言う事になる。

 その後はSSTTのちょっかいもなく、ウェザース歴1999年6月30日、クラウディアス城において、同盟の基盤を固める為に、三国による連合騎馬隊並びに連合歩兵部隊を一つに統合したAKH連合国の正式な武力同盟の結団式が行われていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ