希望の光
KDAOの総大将レッドスター・バルザンを子供扱いし、副将軍のバルザラントに至っては、作戦に耳すら貸さなかった、この謎の若い娘(良好の事)は何者か?そう思ったセバスチャノス大将は、バルザンに聞いた。
「この若い娘は何者ですか?」
それはバルザラントも聞きたい事であった。
「この方は、あの1000年に一度の大受難をお救い下さる女神様です。御名前は雲中良好様と申されるそうです。」
二人は驚いた顔をしていた。それもそのはず、1000年前のヴィーナスの話などおとぎ話だと思っていたからである。バルザンは念を押す。
「くれぐれも他言は無用ですぞ。」
「なぁ、バルザン将軍、それは真か?」
「これを見れば一目瞭然かと。」
するとバルザンは良好に何かのサインを出した。
「準備は良いわ。」
と、何やら杖に話しかけている。すると…。
「サンダーストーン!」
バリバリバリと、雷が石のようなつぶてとなって落ちてきた。
「もう一丁行くよ!」
と、また杖に話しかけている。だが、バルザンがもういいですと、良好に伝えた。
「こんな魔法が使えるのならバルザンの言う事は嘘ではない様だな。流石ヴィーナス。お見事です。」
「そしたら、ちょいちょいっとレグムート君を助けに行かなくちゃ。でしょ?バルザン?」
「はい。仰せのままに。」
その頃、レグムートや配下数名とムラクモ王は、廃墟となったボロい城に立て籠り、SSTTの残党処理隊の攻撃を、何とかしのいでいた。とは言え、SSTT・No.3のストーム・スノー・エクセム司令官率いる部隊であった為に、それなりの実力を持った部隊ではあった為に落城は時間の問題であった。AMTOC総大将のブラックホール・レグムートやムラクモ王は、ここまでかと99%諦めかけたが、2日後希望の光が差した。白旗をあげようか外の様子を確認しに行ったレグムート大将は、その目を疑った。
何と竜巻と雷がボロい城からSSTT兵士を次次と吹き飛ばし、ストーム・スノー・エクセム司令官は数名の部下と敗走したのである。それが良好のサンエンジェルステッキに秘められた魔法のお陰だとはまだ知らなかった。
「ひょっとしてレッドスター・バルザン?KDAO の将軍じゃないか。」
「久しぶりだな。ブラックホール・レグムート大将。相変わらずムラクモソードとレインシールドは格好いいな。」
「これ、水と食糧だよレグムート大将。」
「ありがとう。お嬢さん。」
結果として一週間以上立て籠りを続けたAMTOC軍は、良好のたった一つの魔法で500人にも及ぶ兵士を一度に駆逐出来たのは、良好が女神である何よりの証であった。
「とりあえずクラウディアス城に戻りましょう。」
「そうですね。話はそれからですね。」