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勇者を断ったら、弟子が代わりになると言い出した  作者: あくありうむ
第二章 魔王討伐
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王国国家緊急会議

本編スタートです。政治的云々は付け焼刃な為、論理的におかしい箇所があるかもしれませんが、ご了承ください。

魔王の宣戦布告。そして、大規模魔術の迎撃完了から五時間後。


国民間でのパニックの鎮圧。情報統制。各地での被害状況の確認。他国の動向。魔王に関する研究及び書物のまとめ。


王城では文官が中心となり、四方を駆け巡りながら情勢の掌握に努めていた。




――――――王城 会議室


「あの男を呼び戻すですと!?」


室内に、一人の貴族の男の声が響き渡る。


会議室では、現在王国上層部による、今後の方針についての会議が行われていた。


魔王グレイテストの復活については、前々から協議されてはいた。が、大多数の予想ではもうしばらくは復活しないという見解であったのだ。


故に、魔王討伐において特に重要となる事項についての解決がなされていなかった。


王国における勇者の不在。


伝承通りであるならば、魔王は勇者の持つ聖剣でなければ滅ぼすことができない。現状、その勇者は帝国と教国に一人ずつ存在し、魔王討伐の筆頭とされている。


ここでこの二国の内どちらかにでも討伐された場合、魔王を打倒したという功績は三大国間のパワーバランスを大きく揺るがすものとなる。


三国協力で、というのも難しい。帝国、教国、王国とも、それぞれ性質こそ異なるものの勢力の拡大を旨にしており、その関係上、魔王が出現した時点で確実に三大国のいずれかが、勢力に頭一つ抜ける事となるのは確定事項なのだ。


であれば、行われるのは大国間の駆け引きと競争。


だが、勇者不在の王国はそのスタートラインにすら立てていない。


代々、王族が勇者の座についてきた王国では、王族以外の勇者は考えられておらず、実力主義たる帝国、宗教国家である教国それぞれの勇者は偽物であるなんてプロパガンダまで流布している程だ。(と言っても、帝国は貧弱、教国は背教者などとそれぞれ、他国を貶し自国を正当化しているのだが)


そのため、王族の中に聖剣の適合者がおらず、だが、王族以外認めないという矛盾した状態に陥っていた。


そんな中、会議においてレイン皇太子が発した発言が、室内にて動揺の渦を引き起こす引き金となった。


「そうだ。現状、我が国にて彼以外の聖剣適合者はいない。いや、いたとしても彼以上の適任者は存在しないだろう」


「ですが殿下。彼のものは王族では・・・」


「今の世界情勢の中でそんなことが言っていられると?一歩先を行くにも、協同するにも、我々には前提条件がそろっていない。教国と帝国、この二国との駆け引きの場にすら立っていないのだ。身分でもめている余裕があるのか?」


レインの言葉に列席者達は一様に口を噤む。


彼らとて理解している。ともかく、即急に勇者を立てなければならないことは。


しかし、内情は複雑であるがため、言うほど簡単ではない。


まず、王政が敷かれているこの国において、王族以外で強い絵協力を持つ者が出るだけでも、政治的に安定性が欠けるというのに、ましてやあの男は才能こそあれど平民の出である。民間から出る英雄など禁忌にも等しい。本人の意思の有無は別でも、それこそ革命の旗印にでもされたら厄介この上ない。


また、平民を勇者にすえるという事は、これまで王国が流してきた勇者に関するプロパガンダ全てを否定することにつながってしまう。


ただ、強いだけでは。優秀なだけでは影響力のある地位など与えられないのだ。


だが、それでも―――


「決断の時。そういう事か、レイン」


会議室の最上段にてじっと話を聞き続けていた王国がトップ。現国王フロイデ三世がゆっくりとレインに問いかける。


「はい、父上。全ては、我らが王国の為に」


フロイデは数秒目を閉じ、そして、一つ大きく息をつき、宣言する。


「分かった。手配はそなたに任せる。私も手を回そう。ここにいる他の者達もそのように」


その日、王国は一つの決断を下した。





定期更新頑張ります。

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