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勇者を断ったら、弟子が代わりになると言い出した  作者: あくありうむ
第一章 プロローグ
4/8

魔王復活 教国サイド

プロローグ三話目です。

また、章に関してですが、システムの都合上第一章のプロローグ表示が第一話からになってしまうのですが、ご了承ください。

魔王グレイテストの復活と宣戦布告。そして、大陸全土に及ぶ規模の超大型魔術。


各国の人々が茫然とし、怯え、恐怖していた中、教国とその属国らは違った。


理由の一つとしてあげられるのは、情報統制の違いであろう。


魔王グレイテストの復活については、古くより伝わる文書に記されていたものの、殆どの国々では国民の混乱を恐れ、一部のものしか見ることの出来ない機密文書に指定していた。


その点教国においては、トップである教皇自らが大々的に喧伝しており、年老いた者から年端もいかない子供まで魔王復活の詳細を理解していた。これが、いざ、実際に復活した際に国民たちが殆どパニックを起こさなかった原因だろう。


だが、それはあくまで基盤となっている原因があるからこその事例であった。


その基盤とは『信仰心』である。


教国とその属国の国民たちは皆一様に神とその化身たる教皇を崇拝していた。


彼らにとって、教皇の言葉は神の言葉であり、絶対である。


彼らにとって、教皇より高位の存在など無く、教皇に勝る者などいない。


故に、魔王復活が告げられても、宣戦布告と同時に獄炎を纏った岩石が雨あられの様に降り注いできても、取り乱すものは誰一人としていない。


皆、教皇に対する絶対的な崇拝の念を向けているからである。


そして教皇もまた、彼らの念に応えるべく、岩石に立ち向かう。


其処は、教国が誇る聖都。


その中心にそびえ建つ神殿。その中にでも教皇のみしか立ち入ることの許されていない一室にて、教皇たる彼女は跪き祈りをささげていた。


その白雪の様に穢れを知らない、髪と肌。その肢体は白く薄い衣でおおわれており、肌が大胆に露出している。


にも拘わらず、彼女の神聖さは損なわれておらず、見るものすべてを絶対的な白に染め上げてしまうかの様なオーラは、彼女を印象を更に数段高位のなるものへと押し上げていた。


しばらくして、彼女の周囲を小さな光が一つ飛び回り始めた。やがて、その数は次々に増えていき、気づけば部屋いっぱいの光が渦を描くように彼女の周りへと集まっていた。


同時に、複数の笑い声、あるいはひそひそと話す声が聞こえてくる。だが、部屋に居るのは教皇の身であり、人らしきものはどこにも見当たらない。


ふと、教皇の周りを囲んでいた渦がの動きに変化が生じる。


教皇の周りを回るのではなく、段々と彼女に収束していくかの様に小さくなっていくのだ。


そして、光の塊となり、教皇と完全に融合した。瞬間。


一条の光が、神殿から放たれる。


放たれた光の柱は一定の高さまで伸びた後散開し、教国とその属国全土を覆うように、ドーム状に広がった。


直後、獄炎を纏った岩石群が光の膜に激突する。


しかし、そこに発生するであろう衝撃や音は無く、ただ岩石が消失するという結果が残るのみ。


直ぐに、降り注いでいた岩石は全て消失し、教皇への崇拝はさらに強固なものへ昇華される。


教皇が存在すれば、何も懼れることは無い。


かのお方は最高位であり、絶対であり、正義なのだから。









「理想という虚像を信仰し、当人に対して、真には見向きもしない。やはり、そこが宗教国家の辛いところですね。建国したのは私自身ですが」


彼女の呟きを、誰も聞き取らないまま。

定期更新頑張ります。

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