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海の話
私が少女の頃
おばあちゃんが暮らす村の海によく遊びに行っていた。
白砂清松の美しい浜。
浜の岩場に立て看板。
「ウミガメが産卵にきます。ごみはもちかえりましょう。」
海は私の遊び場だった。
岩場の海藻の上に座って人魚を気取り
水面を眺めていると、枯葉に擬態した生まれた
ばかりの子亀をみつけた。
そっと手を伸ばすと一目散泳ぎだし
海藻の中に隠れてしまった。
そりゃそうだ。
こんなでっかい人間が自分を捕まえようとしたんだから
怖いに決まってる。当時の私は小学生。
数年経ち
浜にごみを埋める人が増えてきた。
村のボランティアが掃除するけど追いつかない。
いつのまにか子亀を見なくなり、看板は取り払われた。
浜に遊びに来るのなら、マナー守ってくださいな。
とってもいいのは写真だけ。生き物を捉えて
イジメては浜のあちこち投げ捨てる。
自分だけが楽しんで、あとは野となれ山となれ。
ごみ山築く違反者は浜で遊んでほしくない。
願いはみんな同じです。
綺麗な浜を残したい。
村人皆の気持ちです。
綺麗なままで残したい。
村人皆の願いです。