バラ園にて
こんにちは、紫雀です。20代の頃の話。
その日は、倉敷や岡山などの絶景スポット、四か所を
廻る日帰りの国内旅行に参加していました。
日帰りだと集合時間が早いんですね。
普段は絶対起きない朝4時に起きて、駅前で待機する
5時出発のバスに乗りこみました。
道中、とにかく眠い……。
お寺や倉敷の美観地区などを見学して
最後の見学場所、バラ園で
芝生に寝っ転がって、ついうとうとしてしまった。
半円のすり鉢状といえばわかりやすいだろうか。
バラ園はなだらかな坂になっており、百花繚乱美しい花を咲かせていた。
下の広場では水着を着た綺麗なおねーさんの
写真撮影会が行われていた。
この日の私のいで立ちは
ダブル仕立ての深緑のパンツスーツにサンゴのブローチをつけ
襟元をリボンを結ぶタイプの白のブラウスを着用していた。
寝っ転がるのにブレザーのままでは窮屈なので
ブレザーを脱いでブラウスだけになり、芝生のちくちくが気になるので
ブレザーはしいてから寝っ転がった。
ポニーにまとめていた髪はいつもの癖でほどいてばらけていた。
右腕を伸ばし左手で掴むようにして頭の上で組み(伸びをした状態)
体を伸ばして脚は膝をくっつけて若干左足が立膝気味だった。
『んー眠い……眠れそう。少し眠ろう』と思った瞬間
カシャカシャカシャという連続シャッター音が響いた。
閉じた瞼を通して連続でフラッシュがたかれているのが判る。
『ええっーっ……なんか、写真撮られてるぅー』
いやぁ、モデルじゃないんですけど。なんか恥ずかしいんですけど……
恥ずかしさで身動きならず。じっと耐えていたら、
シャッター音が二倍、いや、三倍になり、
うるさいほどの音があたりに響いている。
もういいわ。好きなだけ撮ってください。そう開き直って
シャッター音が終わるまで、その寝姿をキープした。
ようやく、すべての音が収まって自分の周りが静かになった。
体を起こしてあたりを見回すと数人のカメラマンが
下の広場に帰っていくところだった。
時計を見るとツアーの集合時間が迫っていた。
集合場所に行くと母が言った。
「何、あれ、モデルたのまれたの?」
「いや、別に……カメラマン三人くらい?」
「3人?、もっとたくさんいたわよ」
「そうなんだ……。」
ろくにバラも見ず……鳥取に帰るはめになった。
いやぁ、自分が悪いんですけどね……σ(^_^;)。
以上、紫雀の体験談でした。