介護、踏んだり、けったりな話 その3
雪の量はたいしたことないのに
車に踏み固められて、路面はアイスバーン状態。
同乗していただんな様、やっと異変に気がついた。
「あー、あー、あー、あー、いけんがな」
ドン!ガッシャーン!!(T_T)
いい終わった直後、停止していた前の車にぶつかりやっと止まった。
「申し訳ありません」車からおりて平謝りにあやまり、
交差点から交通量の少ない側道に入って車を止め
警察に連絡して、事故処理をしてもらった。
警察を待っている間
相手の男性が声をかけてきた。
50代のサラリーマン、背広を着ている。
聞けば、仕事で鳥取にきて、もう一件支所をまわり、
京都に帰る途中だったという。
相手の車は京都ナンバーだった。
「ブレーキ踏んだけど、全くきかんかったやろう」
煙草をくゆらせながら、男性はそういった。
「はい、そうです、本当にすいません」
「わしも去年、同じところでやってなァ、ブレーキ踏んだけど
ガガがガーって言うだけで全く、止まれず前の車にぶつけたんや」
「……」
「まさか、同じ所でぶつけられるとは思わんかったわ」
そう言って、豪快に笑った。
まるで見ていたかように状況説明をされて
ただ、ただ、びっくり
去年も……?
そういえば、ここはよく事故の起こる交差点で、
警察がたびたび実況見分してるのを見る……。
もしかして、魔の交差点?
「ガガがガーっていったら、気お付けないかんよ」
「……はい、いい勉強になりました。」
警察の事情聴取の後
双方、急いでるという事で、
名刺交換をしてお互いがその場を後にした。
続く