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友達ってなんだろう。

こんにちは、紫雀です。


それは中学時代、真面目に英語塾に通い

そこで知り合った女の子から聞いた話だ。


彼女は他校の同級生、中田亜子さん(仮)と言った。

中学二年生の時に同じ塾に入ってきた塾生だった。

勉強ができない者同士すぐに仲良くなって色んな話をするようになった。

ある日、亜子はこんな話をしてきた。

小学生時代はどこの地区でも夏休み中、強制的に

ラジオ体操に出ることになる。彼女の地区もご多分にもれなかった。

ある夏の日、朝早く女の子が一人、彼女の家にやってきた。


「亜子ちゃん、一緒にラジオ体操に行こう」


亜子は驚いた。

だって同じクラスに所属する松野さんはとても無口で

教室であまり口を聞いたことがなかった。

科学の実験の教室移動の時に

一度だけ彼女に話しかけた事がある。

その時以来だ。


「うん。行こう」


と答えて一緒に家を出たが私は松野さんに家を教えただろうか?

覚えがないのに家までやってきた事がとても不思議に思えた。


その日の松野さんはとても饒舌。

本当によく話して、よく笑った。

ラジオ体操を終えて自分の家の手前で松野さんと別れた。

最後に松野さんはこう言った。


「教室移動の時、話しかけてくれてありがとう。うれしかった」


微笑んだ彼女。


家に帰ると玄関口で

母親が真っ青な顔して立っていた。


「……松野さん、朝、家に来た子だよね。」

「うん、一緒にラジオ体操してさっき家の前で別れたよ」


「松野さん。昨日、交通事故で亡くなったって。

 ついさっき連絡網が回ってきたのよ。」


「うそっ、だって今、別れたばかりで」


走って玄関を抜け、大通りに出る。

彼女の姿は跡形もなかった。


そこまで話して亜子は言葉をつまらせた。


「なんで、彼女、私の所にきたんだろう。

 私、ちっとも彼女と話なんかしてなかったのに」

「……きっと、一言交した言葉がほんとに嬉しかったんだよ。」


私はそう言った。


「もっと、話をすればよかった。優しくすればよかった。

 仲良くすればよかった。」


「……そうだね」


切ない気持ちで呟いた。


「友達ってなんだろう……私、ぜんぜん彼女の友達じゃなかった。」


亜子は泣いていた。


とても深い後悔に苛まれて。

かける言葉がみつからなかった。


中学時代の悲しい実話。


よく心霊現象を否定する人がいるけど

ピュアな子供時代は不思議な事がおこります。

たぶんあなたは気づいていないだけなのだと私は思うのです。


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