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料理と宗久への対応

「南蛮料理ですか」


「いきなり言われてもなぁ」


 信長に無茶ぶりをされたオレは、とりあえず南蛮料理の支度をすると告げて家に帰って来た。


 困った時のエル頼みと言うことで、宗久が来たことや南蛮料理のことを相談するとエルも少し考え込んでるよ。


 全く、オレは信長のシ〇フじゃないのにさ。


「今井宗久といえば堺の会合衆の中でも大物の一人です。ただ出世欲が強いというか。当然と言えば当然ですが。彼らは敵味方構わず武器や物を売ります。長期的に見ると堺の影響力は下げたいのですが」


「ガツンとかましてやれって、ことだと思うんだけどね」


「分かりました。料理は私が作ります」


 相手が信長ならまだいいんだけど、今井宗久だとなるとちょっとね。


 人のこと言えないけど、商人が力を持ちすぎて影響を与えすぎな気がしないでもない。


 見方を変えると、戦乱が終わらぬことを願ってる可能性のある人達だからな。


 堺を潰したり敵に回す気はないが、今のところオレ達は津島と熱田を中心に新しい経済圏を作ろうとしてる。


 それがある程度成長して堺に対抗出来るまでは、下手に堺や畿内に進出する気はないんだよね。


 三好・六角・朝倉が落ちるまでまだ年月はある。


 織田家が畿内に進出するまでに、尾張を中心にした経済圏を成長させないと。





「一馬殿。今井殿の件どうお考えで?」


「当面は直接取引はしない方がいいかと。南蛮船の荷は当分の行き先は決まってますから。しかし津島の商人からならば、蜂蜜酒などの食べ物をいくらか融通するように、働きかけて頂くくらいでどうかと考えてます」


「堺の会合衆は畿内での影響力が強い。あまり反感を買われることは避けたいところですからの」


「このままいけば、いつか対立するかもしれません。ですが織田家が大きくなるには必要なことです」


「つまり、それを遅らせたいと?」


「はい」


「なるほど。ではわしが少し上手く話しておくか」


「お願いします」


 エルはすぐに料理の準備に取り掛かるが、オレは信長の元には戻らずに平手政秀と宗久に対する打ち合わせをしていた。


 宗久もそれほどこちらを、警戒や意識して来た訳ではないだろう


 堺は織田家との繋がりがあまりないので顔見せに来たのだろうし、欲しいのは硝石だと思うんだよね。


 確か宗久は武器屋もやっていたはずだから。


 尾張半国にも満たぬ織田弾正忠家が畿内に進出するなど、本気で考えてるのは信長くらいだろう。


 次点で平手政秀と信秀が、信長のそんな意思を理解してるというところか。


 こういう時、エルを表に出せないのは厳しいね。


 オレは海千山千の戦国商人と渡り合えるような経験はない。


 ただ平手政秀はそれをある程度見抜いてるんだよね。


 本人にどの程度の認識があるか知らないけど、今の織田家で一番重要な人は彼だろう。


 実務的な能力が高く長年うつけと言われてきた信長を支えた忍耐力もあるし、オレ達の考えを戦国時代のやり方で上手く実現してくれるスーパーお爺ちゃんだ。


 信秀と信長の信頼も高く替えがきかない人物なんだよね。


 信友の件も敵にまで信頼されている、平手政秀だからこそ纏まった話だ。


 平手政秀の周囲には、もっと気を付けなくてはいけないかもしれない。


 史実より彼の地位や役割が大きくなってるのが、面白くない人も居るはずだ。


 宗久は当面は付かず離れずでいい気がする。


 畿内に進出する際には、優遇してやるべきなんだろうけどね。



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