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信長。女性に諭される

 桜も終わり新緑の季節になる頃になると南蛮吹きの技術伝達が終わっていた。


 南蛮吹きの為の炉の建設はうちのアンドロイドが建設して平手政秀が集めた職人達に技術指導もしたらしい。


 アンドロイドはエル達と同じ有機ボディの外人のような容姿の女性のアンドロイドで開発製造部という宇宙要塞内の製造部門から派遣したプロフェッショナルだ。


 信長達や職人達はまさかの女性が来るとは思わず驚いたようだけど、元々職人だった者達だけに丁寧に教えたら飲み込みは早かったと報告があった。


 粗銅は密かに金と銀を分離したのちに粗銅に戻すと明に売るという名目で津島に運ばれて、オレ達が使ってるガレオン船に偽装した核融合とエンジン付きの船に乗せてそのまま前線基地にしてる小笠原諸島に運ばれてシャトルにて宇宙に打ち上げ要塞シルバーンの工場にて宋銭と明銭になり再び地上に下ろすと粗銅の代金として織田家に納める。


 粗銅を集めるのは津島や熱田の商人にやらせてるみたいだけど、表向きは平手政秀が主君の信秀の命により南蛮貿易を始めようとしてるという筋書きらしい。


 使用する木炭や骨灰は関わる人を出来るだけ減らして技術流出を防ぐことも目的にありうちが納入してる。


 安く買い叩かれてる粗銅から僅かだが金と銀を取れて残る粗銅で銭を造りそのまま収入となるのだから、織田家にとっては笑いが止まらなくなるだろう。


「便宜上うちの利益として銅銭を貰うんだけど使い道あんまりないんだよね。どうしようか?」


「ある程度は保有してもいいかと。今後も信長様にはいろいろ頼まれるでしょうから。余ったら海外から金でも買えばいいかと思います」


 ただ宇宙要塞なんてものがあって中にはあらゆる生産施設があるオレ達からするとあんまり銅銭って必要ないんだよね。


 正直信長を見ていたいという割とくだらない理由で協力してるだけだし、銅銭の利益なんて要らないんだけど利益もない話であれこれと動くのも他人から見たらおかしな話だから貰わないと不自然にしかならない。


 何かして庶民にばら蒔くのとかならいいけど宗教とか特定の権力に銭を渡すのは個人的に嫌なんだよね。




「かず、飯だ」


 そして自前の収入の目処がついた信長だけど家に飯をたかりにくる回数は花見以降ちょっと増えてる。


 理由は信長本人は言わないけど周囲に配置してる超小型偵察機の情報では、どうも平手政秀と以前よりも分かり合えてるのが原因らしい。


 元々信長の大うつけとの噂は信長の行動が破天荒過ぎたのが原因みたいだけど、どうやら親父さんの策略でもあるみたいなんだよね。


 親子で周囲を騙して敵対しそうな人を炙り出して警戒してるようだし、いずれ信長が家督継承すればそんな人達がうつけならば勝てると裏切るのを信長が叩く為の策略でもあると。


 ただまあ平手政秀は先日の花見以降信長と分かり会えた部分もあり信じて着いていく決心でも決めたような態度らしい。


 表向きは家中に対してのパフォーマンスとして以前と変わらず信長を諌めているようだけど、影では南蛮吹きの件などで出る利益の使い道なんかを話してるようだし。


「かず。あのお前の船にある大きな砲。使うところを見せろ」


 収入を得た信長が欲しがったのはやはり火縄銃だった。


 元々織田弾正家は津島と熱田からの銭で金持ちなため史実でも火縄銃をこの頃には入手していたらしいし、那古屋城にもすでに少しあるみたいだけどとりあえず百丁の鉄砲が欲しいと言われて宇宙要塞シルバーンで造って地上に下ろしたところだ。


「別に構いませんけど、あれ陸上で使うには重いので大変ですよ」


「城攻めには使えよう」


「若様。鉄砲や大砲を本格的に扱うつもりならば硝石を作る方を先になされた方がよろしいかと思われます」


「作れるのか!?」


「はい。方法が少し大変ですが。南蛮ではすでに知られた技術です」


「何故もっと早く言わん!」


「焦ってはいけません。金と銀の抽出と銭の鋳造の目処が立たねば若様はともかく平手様は動けないでしょう? それに性急に物事を進めれば必ず無理が出ます。どのみち硝石を作るのは一年か二年は掛かりますので当面は私達が安く仕入れましょう」


「であるか」


 史実でもそんな感じがあったようだけど、信長は基本的にせっかちなんだよね。


  火縄銃が届く前に次は大砲に目を付けたみたいだけどエルが硝石が作れる件を話すと珍しく声を荒げた。


 まあニッコリと微笑み正論を諭されるとすぐに大人しくなったけど。


 相手が女性でしかも信長は気付いているはずだ。


 オレの仕事という貿易や南蛮吹きの技術伝達など細かいことを差配してるのが彼女だということを。


 これで人の話をもう少し聞くようになればいいけど。




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