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粗銅とお酒

「随分集まったな」


「諸国の商人が最近更に津島に来るようになりましたからね。貿易に銅が必要だと言ってますから、皆が銅を持ってくるのですよ」


 この日オレは信長とお供の皆さんと一益と津島に来ていたが、津島にある屋敷の蔵が粗銅で埋まるほど銅が集まっているに、信長のお供の皆さんが驚き絶句してるよ。


「平手様が職人を増やしてるんですけどね。機密を守れる職人となるとなかなか増えないので、これはうちで処理することにしたみたいです」


「南蛮船と花火の影響か」


「そうでしょうね。堺に持っていくより近い場合はこちらで売った方が利益になりますから。最近は甲斐の商人とかも来てますし」


 津島に南蛮船が来ているとの噂は、確実に諸国に広がりつつある。


 先日の花火の噂も早くも広がり出した影響は顕著で、貿易用にという名目で集めている粗銅が頼まなくても集まるようになり始めていた。


 元々は堺などに運ばれて明や南蛮貿易での輸出品として使われていた物だろうが、領地から離れれば離れるほど経費がかかるのは戦国時代でも変わらない。


 特に近畿圏はあちこちに関所があるし、海は港に入れば税を取られ水軍も通行料として銭を当たり前に取るからね。


 もちろん経済の中心地は今でも堺と近畿圏だけど、堺に行く何割かでも津島に来れば十分。


 扱う量が向こうは桁違いだからね。


 ただ織田家が粗銅から金と銀を抽出してるのは家中でもほとんど知らない機密で、なかなか人が増やせないのがもどかしくもある。


 元々鉱山とかある場所なら誤魔化して人を増やせるけど、尾張の那古屋近辺だと限界があるしね。


 結局信秀は織田家で扱えない分は、うちで抽出してそのまま利益にしていいと決めた。


 花火の代金の代わりじゃないんだろうけど、溜めても仕方ないしさっさと銭にした方が織田家も得だからね。





「こっちは玉薬ですか?」


「そうですよ。安祥城に運ぶみたいです。花火で大量に使いましたからね。松平辺りが稲の借り入れが終わったら、今が好機だと攻めてこないとも限りませんし」


 あとは織田家で使う火薬も、最近ではほとんどうちが提供してる。


 特に最前線の三河安祥城には信長の兄が居て、春には今川に攻められてなんとか城を守ったばかりだからね。


 元々織田家に火薬を納めていた商人なんかには、うちの商品を融通したり火薬を融通したりすることで調整してる。


 信秀は他にも標準的な火縄銃や火縄銃の大型の大筒に、焙烙玉や原始的ナパームの火炎玉を幾つか三河安祥城に送ることにしたみたい。


 安祥城も状況があまり良くないのは確かだけど、実戦で試してもみたいのだろう。


 現状ではこちらから攻勢に出る気はないようだが、三河から易々と撤退する気もないみたい。


「熱田でも何か始めると聞いたが?」


「ああ、あっちは酒造りを始めようかなと。どぶろくではなく澄んだお酒をね」


 それと秋の米の収穫を待ち、熱田では清酒作りを始める予定で平手政秀が動いてる。


 貿易関連の物は熱田にも流してるけど、主流は津島だしね。


 熱田にも主流となる利益を分けないとダメだからさ。


 米は領内よりは領外から頼んでいて、一ヶ所から集め過ぎないように頼んである。


 集め過ぎて恨みを買いたくないしね。


 最初は豊作のところから普通に買うだけで十分だ。


「酒か。飲むやつは本当に飲むからな」


「蜂蜜酒もいいですけど、米の澄み酒なんかもいいですよ」


 ただ信長はまた酒かと言いたげな顔をしたけど、よく売れるんだよね。お酒ってさ。


 信長自身は甘口のワインと蜂蜜酒は少し飲む程度だけど、この時代でも酒好きな人はどぶろくとか作ってよく飲むからね。


 この時代の人にも造れるし、当分は織田家の秘技として独占出来れば利益は大きい。


 そろそろ周りが警戒する頃だからね。


 酒とか食べ物ばら蒔いて上手くやらないと。


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