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花火の影響

 花火の反響は予想以上だった。


 いやエルは反響を予想して、いろいろ準備をしていたようだけどね。


 オレはそこまで深く考えた訳ではないからさ。


「服部の坊主が花火を戦と勘違いして、陣ぶれをして赤っ恥をかいたそうだ」


 津島の南にある河内を支配する服部友貞は、反織田で一向衆の伊勢長島と関係が深い土豪だ。


 そんな奴が津島の花火で勘違いして陣ぶれをしたと、津島で笑い者にされてるらしい。


 他にも信秀の元には尾張の土豪や国人衆からご機嫌を伺うような手紙が来たりしているようで、勘のいい人は花火の影響を理解した人も居るみたい。


「清須が自分達も花火を上げたいと、手紙を寄越したがいくらかかるのだ?」


「他所でやるなら千貫から二千貫でしょうか? 硝石は買えば高いので。ああ急ぎならそこに更に割り増しになりますよ」


 そして織田弾正忠家の名目上の主家である清須の織田大和守家が、さっそく信秀がやったなら自分達もやりたいとアホなことを言い出したらしい。


「清須に出せる額ではないな。二千五百貫でならやると返事をしてよいか?」


「はい。構いません。ただ作るのに時間が掛かるのでその点も書いて頂けたら」


「どうせ清須には出せる額ではないがな」


 今日は末森に呼ばれ花火について改めて聞かれているけど、流石に値段を知らせたら信秀以下信長や平手政秀もビックリしてるよ。


「ああ、ここだけの話。当家でやるならもっと安いです。硝石は国内は高いですが作れないこともないですし、他にも安くする方法がありますから」


 黒色火薬の硝石もぶっちゃけ宇宙要塞なら量産出来るんだよね。


 成分ははっきりしてるんだし。


 まあ硝石だけなら、まだ発見されてない場所で領有者のはっきりしないとこから、こっそり採掘してきた方が早いんだけどさ。





「そう言えば蝮と会ったらしいな」


「ちょっと探りを入れたら見事に返されてしまい、若様に助けられましたよ」


「フフフ。流石の南蛮渡りも蝮に噛みつかれたか。それでその方から見て蝮はどう見えた?」


「武士というよりは商人に見えましたかね。なんというか物事を見る視点が。ただあまり周囲に理解されてるようにはみえませんでしたね」


「ふむ。蝮も苦労しておるか」


「同盟がなれば当面こちらには手を出しては来ないかと。この時期に津島に来たのは、うちの船と津島を見たかったからでしょうし。今の津島を見て何も感じぬのなら、美濃は銭と物の流れでじわじわと締め上げられます」


「それほど甘くはあるまい」


 道三に一本取られたと言ったら笑われたよ。


 怒られるかと思ったんだけど。


 少しくらい失敗や弱点を見せた方が安心するのかね?


 ただ信秀は道三が同盟を、何処まで守るか気にしてるように見える。


 この時代の約束や同盟なんてみんな平気で破るからな。


 まして道三は過去が過去だし。


「私もそう思います。ただ敵対するよりは同盟を維持した方が、得だとは思ってくれると思います。その為に花火の原料を噂で流したのですから」


「銭で戦をすると蝮ならば見抜くか?」


「はい。平手様の話だと美濃国内も安定してない様子。国内を安定させるのに数年でも掛かれば、数年後にはこちらは更にやり易くなります。山城守様が尾張に攻めるとすれば、年齢的にも今しかありません」


「となるとあとは三河よの。あそこも頭の痛い場所だ」


 道三は恐らく同盟を結び守るだろう。


 史実を見ても道三は織田との同盟を守っていたし、今の美濃に尾張に攻めるだけの纏まりはない。


 どうせ尾張の上四郡はうちの領地じゃないから、攻めるなら攻めても織田弾正忠家としては悪くないんだよね。


 ただ信秀は話が三河に変わると渋い表情をした。


 三河が欲しくない訳ではないのだろうが、採算というか負担が大きい割に実入りが多くなく、今川との戦ばかりになるのは悩みの種なのだろう。



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