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花火と蝮

side・斎藤道三



「花火か。さぞや大量に玉薬を使ったのであろうな」


「あのような物に高価な玉薬を使うとは」


「戦で使えばいいものを」


「信秀め老いてボケましたかな」


「たわけが。もっとよく考えてみよ。あの花火で信秀の名はすぐに全国に広がるぞ。それにあのような物が戦場や城攻めで使われてみろ。どうなるか分からんのか?」


 相変わらずワシの機嫌を取ろうとする者ばかりじゃな。


 いや花火の影響は油売りだったワシにしか、分からんのかも知れんが。


 聞くところによると玉薬を大量に使い、空に打ち上げたんだとか。


 それを戦に使えばと、愚かなことしか考えられぬ家臣にため息も出ないわ。


 玉薬の代金などすぐに取り返すであろう。


 津島と信秀の名はすぐに全国に広がるのでな。


 大名の中には噂を聞き、試しに商いの一部を堺から津島に変える者も現れよう。


 特に尾張より東国になると、堺から荷を運ぶだけであちこちで関所やら水軍に銭を取られる。


 ならば近い津島の方がいいのは子供でも分かるわい。


「信秀はそれを狙って!?」


「尾張国内の風向きも変わるのう。南蛮船には大きな砲があると聞く。それで遠くから狙われたら敵わん」


 それに銭の問題ではない。


 上に飛ばせるならば横にも飛ばせよう。


 あれがどんな仕組みか知らぬが、鉄砲や南蛮船の砲を大量に使われたら槍や弓では戦にならぬわ。


 だが誰の知恵だ?


 信秀が一から考えたのではあるまい。


 やはりあの男か?


 新参者に銭を大量に使うことを認めただけでも信秀の器が分かるわ。


 確か婿殿と遊び歩き放蕩してると聞いたが、それは尾張を知らぬあの男に見せてるだけなのではないか?


 新しく仕官したあの男が家中に手土産をばら蒔き、尾張を見て歩いてるだけだとしたら?


「ワシにもまだ運は残っておるな。帰蝶を欲したのは向こうだ。こちらから切らねば当面は敵対せずに済む」


「確かに」


「織田は三河に力を注ぐのでしょう」


 変わる。尾張は変わるであろう。


 当面は問題ないが、美濃がそれに対抗するには?


 出来ぬこともないが、南蛮船どころか南蛮人すら居る織田の真似をして対抗するのは無理じゃな。


 ワシが生きておれば、戦うより同盟が得だと思わせることで生き残れるであろうが。


 義龍には世の中を見る目がない。


 ワシの子か土岐の子かと妙な噂を流してる時点で、奴の器などたかが知れておる。


 無論すぐには破れんじゃろうが、時は織田の味方じゃ。


 孫四郎と喜平次を婿殿にやるか?


 すぐには嫌がるであろうな。


 何か手を考えねば。


 勝てぬ。どちらか片方だけならまだやりようもあったが、ワシ一人では勝てぬ。


 まて、光秀を帰蝶に付けて婿殿にやるか?


 やつならばやれるであろう。


 まだ未熟じゃが世の中見る目もある。


 少し真面目過ぎるのが気になるが、婿殿とあの男ならば上手く使うであろう。


 美濃に戻ったら考えねばなるまいな。




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