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新兵器と戦の未来

「ようやく当たるようになってきたな」


 風鈴の音に混じり響く火縄銃の音は、最早我が家の日課となりつつある。


 おかげでうちの馬や鶏はすっかり火縄銃の音にも慣れちゃったよ。


 しかし成果もあり信長の小姓の面々は、火縄銃の扱いが格段に上手くなった。


 火縄銃の改良型である銃床を肩に当てる形にしたやつには、麻のベルトを付けて肩から掛けられるようにした。


 火縄銃って重いのに持ち運び面倒だしさ。


「銃槍は犬千代殿が扱いが上手いですね」


 あとついでに火縄銃に銃剣ならぬ、銃槍を付けれるようにもしたんだけど信長の評価が高かった。


 銃槍と言えど長さも微妙だし、主力の武器としては使えないけど乱戦になれば役に立つだろう。


 ただ火縄銃を撃つだけだと邪魔なだけなので取り外し式にしたから、多少手間が掛かるし強度は落ちたけどね。





「それよりこれは親父に見せねばなるまい」


「焙烙玉は水軍の一部で使ってるそうですよ。火炎玉はうちで作った試作品です」


「どこの水軍だ?」


「瀬戸内の村上水軍で使ってるとか」


 あとついでに焙烙玉と、原始的ナパームと言える火炎玉も作ってみた。


「あの大砲よりも使えるのか?」


「いえ、大砲は水軍が持っているとは、聞いたことありませんよ。賊に毛の生えたような連中が、持てる物ではありません」


「それもそうか」


「でもこれなら投げても使えますし。投石器とか使えば、城攻めには有効ですよ。大砲よりは扱いやすいですから」


 史実だと織田水軍が苦しんだと言われる焙烙玉と、この時代にはなかったナパームは大砲よりは扱いやすい。


 投石器は組み立てるのが大変でも、大砲よりは運用が楽だし。


 実は弩もエル達と持ち込むか考えたんだけど、下手に武器の種類を増やすよりは、現状だと火縄銃に絞った方が良さげなんだよね。


 弩はその気になれば農民でも使えるから、下手に広めると一向宗との戦いで痛い目を見そうだからさ。


 それに兵站を考えると、現状だと武器を増やしても生かしきれない可能性が高い。


「銭がかかる戦になるな。弓や槍より鉄砲とこれが、この先は主流になるか?」


「まだ当分はならないでしょうね。普通の大名だと鉄砲などそうたくさん撃てませんし」


「だがそれだと、いつまでも決着がつかぬであろう」


「そうともいいますね。しかし恨まれますよ。やり過ぎれば」


 信長は次々に見せた火縄銃や焙烙玉にナパーム玉にと、少し迷ってるみたいだけど仕方ない。


 この時代の信長はあくまで初陣は済ませてるけど、実は自ら指揮した経験なんてない。


 史実の信長は家督を継いでから尾張統一までは、本当に苦労してるみたいだからな。


 まあ。そんなこと言うとオレなんてギャラクシー・オブ・プラネットの戦争すら、自分で参加したことは数えるくらいしかないんだけど。


 オレも実際に軍を指揮しろなんて言われても、エル達が居なきゃ何も出来ないだろうね。


 正直なところにわか仕込みの知識を、アンドロイド達がフォローしてくれるから何とかやれてるだけで。


 リアルな戦を知らぬオレと信長で、戦の未来を語ってるなんて他の大名に知られたら何と笑われることか。


「だがそうしなければ戦は終わるまい」


「そうですね。誰かが国を纏めぬ限りは」


 最近考える時がある。


 信長が史実のように天下を狙わなければ、この世界はどうなるのだろうと。


 天下を纏めるには実力も運も必要だろう。


 信長には実力も運もあるが他は……。


 秀吉は信長が居なければいくら活躍しても出世しないかもしれないし、多少出世しても天下までは狙えないと思う。


 家康も微妙だね。


 誰かの元で長生きして力を付けたらワンチャンあるかな?


 だけど下手すると今川の重臣で終わる可能性も。


 武田と上杉は史実同様にお互いに足を引っ張り合うだろうし、北条は最初からその気が無さげ。


 三好は長慶が長生きすれば多少可能性があるくらいか。


 毛利は元就の歳と長男の隆元がね。


 足利家の幕府復興はもっと無いだろう。


 結果的に見ると史実の三英傑は、多大な時間と犠牲を払い天下を纏めた。


 英傑が一人では無理なほど現状は厳しいのかもしれない。


 戦だけで天下を纏めるのが無理なのは史実で明らか。


 やはり尾張を新時代の形に改革する方を、今は優先するべきなんだろうね。


「ところで私はただの若様の小姓なのに、何故戦の未来まで考えねばならぬのです?」


「たわけ。お前をただの小姓だと思ってる奴などおらぬわ」


 もうひとつ気になっているけど、最近のやってることって完全に小姓の立場じゃ越権行為だよね。


 でもそれを指摘したら怒られたわ。



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