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天文17年。日本初のラーメン屋が出来ました

「へ~。なかなかいい店ですね」


 未来と比べると涼しく感じる戦国時代の夏も本番となる頃。


 平手政秀が手配したラーメン屋台一号が開店準備が整ったと言うので、信長と勝三郎達にオレとエル達に一益が平手政秀に連れられてラーメン屋に来ていた。


 店主は三十代だろうか?


 元は京から流れてきた料理人らしい男で、熱田に居るのを聞いた平手政秀が自らスカウトしたらしい。


 流石に領主である信長が居るので緊張した様子だ。


 店としては時代劇の居酒屋というか、飯屋みたいな雰囲気を少しシンプルにした感じか。


「うむ。美味いではないか」


「ありがとうございまする」


 最初に信長に出されたラーメンは、製麺機がない為か見た目は少し太めの手打ち麺だった。


 材料は小麦は那古屋で仕入れたが、醤油やかん水などはうちが出してるから味は悪くないはずだ。


 津島と熱田の味噌屋には醤油を、塩屋にはかん水の作り方を教えはしたが、物になるにはまだ時が必要だろう。


 具はネギのみのシンプルな物を基本に、メンマと猪肉のチャーシューは別料金となる。


 メンマは当然ながら原料のマチクという竹が、尾張では手に入らないのでうちが提供してる。


 猪肉のチャーシューは、肉の安定供給の目処が立ってないからある時限定らしい。


「爺。ようやった」


「某は人を探して店を用意したまで。あとはエル殿とケティ殿のおかけでごさいます」


「二人もようやった」


 昔ながらの煮干しのダシの醤油ラーメンはシンプルで美味い。


 麺は製麺機がないので地味に大変だろう。


 でもちゃんとちぢれ麺になってるし、麺にコシもありスープが絡んで美味いね。


 調理はエルとケティが教えていたらしいけど、ダシの取り方とかなかなか腕のいい料理人を見つけたもんだ。


「値段はこんなもんか?」


「うちの利益は取ってないんですけどね」


 値段は流石に少しお高め。


 庶民でも食べれるようにしたいけど、そもそもこの時代の農民って毎日雑穀の雑炊とか食べてる人達なんで、現金をほとんど持ってない。


 うちの利益は表向きゼロにしていて、経費分くらいしか貰ってない。


 まあ宇宙で作ってるから、それでも利益は出てるけどタダにするのもね?


 最終的には江戸時代の蕎麦くらいには身近な料理にしたいけど、それには農民の収入を増やして貨幣を行き渡らせないとダメだろう。


「商人とかちょっと裕福な農民なら食べれるでしょう。ただ普通の農民なんかは元々銭をほとんど持ってませんからね。銭の絶対量が足りないんです」


「結局銭が足りない話になるのだな」


「ええ。まあ。農民の収入を上げることも考えてますけどね。それ以前に問題だというのが現状でして」


 平手政秀の話だと信長は、ラーメンを領民に食べさせたいらしいが現状だとなかなか難しい。


 農村なんかだと物々交換とか普通だし、銭があっても使い道がない地域すらある。


 第一銭が鐚銭という欠けたりすり減ったりと、使い物にならない物が大量にあるんだよね。


 銭の種類もいろいろあったりして、価値も一定でなく下手な鐚銭よりは物々交換の方が、農村なんかだと価値が分かりやすくていいのだろう。


 農業改革と新しい品種と平行して、副業なんかも考えるべきかもしれない。


 ただまずは飢えて餓死したり、子供を売らないで済むようにして、普通に食えるようにするのが先だけどね。


 しかしオレ達で一番難しいのは貨幣の量が足りないことだ。


 いくら粗銅から作っても全国的にお金か足りないから、銭は領外に流れていくことか。


 もう宇宙でも大陸でも海底でもいいから、知られてない鉱山をこっそり採掘して銭を宇宙要塞で大量生産しなければ、間に合わないレベルかもしれない。


 とりあえず所有権のない宇宙か海底の鉱山でも採掘してみるか?


 全く。


 本当は銭の問題は幕府と朝廷の仕事だよね。


 特に幕府は仕事もしないで、権力争いばっかりしてぶっ飛ばしたくなる。


 史実の三好長慶とか信長はよくまあ我慢したよね。


 この時代はまだ細川が菅領で、三好長慶はその下みたいだけど。


 ただ尾張を統一する頃には那古屋の領民くらいは、ちょっと頑張ればラーメンを食べれるようにしたいね。



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