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鯨油と漁業

「これは油か?」


「鯨から取った油です。若と殿に献上するんで、城や家中に適当に分けて下さい。いっぱいあるんですけど売ると油座が煩そうですから」


 蜂蜜酒を作る蔵はすんなり決まったけど、鯨肉を得るための捕鯨をする上で取れる油の扱いは少し厄介だった。


 鯨油はこの時代まだ使われてないけど、油は油座という組合が幅を利かせていてまだ敵に回したくない。


「あとこれは石鹸と言って、手や身体を洗うときに綺麗になる物です。使ってみて下さい。手や身体を綺麗にすれば病にも掛かりにくくなりますから」


 なので織田家には油のまま献上して、明かりとして使ってもらうのと鯨油の石鹸を作ってみた。


 正直オレもアンドロイド達も情報としては知ってても、実物を見るのは初めてだけどかなり出来はいい。


「石鹸は初めてだな。南蛮の物か?」


「石鹸は南蛮の技術ですけど、鯨から作ったのは多分うちが初めてです。当面は独占出来ます」


 大橋重長が帰ったので油と石鹸の使い道を信長に話しいく。


 石鹸は広めるの大変そうだけどね。


「油座か」


「売ろうと思えば出来なくもないんですけど、絹と木綿を優先させます。あんまり敵を増やして結託されると面倒ですし」


 現状で津島と熱田に限れば、織田家の力があれば油も売れるとは思う。


 油座は煩そうだけど保護してる朝廷や幕府が機能してないからね。


 ただやり過ぎて久遠包囲網でも敷かれたら面倒だって、エルが話してた。


 堺との関係が定まらないうちは、様子見ながらやるしかないね。


 この時代は堺の経済力は、まだ今の織田家では太刀打ち出来ない。





「若様。鯨が焼けたネ」


「美味いな」


「鯨は人気ですしね。定期的に捕ってきますよ。あとは漁師の船を大きくして魚も獲る量を増やしましょう。食べても美味しいですし魚は畑の肥料にも出来ます」


 今日の予定は終えたしリンリンが鯨を焼いて来たので、それを食べながら信長と漁業の話をしようか。


「やけに魚に拘るな」


「陸上は誰の領地だとか水がどうだとか面倒ですが、海は広いですからね。船に乗れる人間を今から増やしたら将来水軍を作る時に楽になりますよ」


「であるか」


 農業のテコ入れは必要だけど漁業の方が比較的面倒が少ない。


 信長はともかく、統制があってないような、この時代の武士や土豪がそうそう言うことを聞くとは思えない。


 その点津島や尾張近海なら他所の水軍もそうそう来ないだろうし、海は小うるさい権利を主張する武士や土豪が居ないからね。


 漁獲量を増やして煮干しとか魚肥とか作れば農民のおかずにもなるし、肥料の問題も少しはマシになるだろう。


 大橋重長は大変かもしれないけど、他はいつ裏切るか分からないからな。


 いっそマグロも獲ってきて津島に店でも出すか?


 武士は食わないかもしれないけど、商人とかはそこまで気にしない気もする。


 この時代の漁業なんてたかが知れてるし、本当海は宝の山だね。


 とりあえず鯨肉を家中に配って反応を見よう。


 

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