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英傑二人目

「若様。こちらの御方はどなたで?」


「三河の松平家の嫡男竹千代だ」


 そのままオレは信長に鷹狩りに連れて行かれることになったけど、熱田に到着すると勝三郎がまだ未修学児にしか見えぬ子供を何処からか連れてきた。


 誰かと思えば家康かよ。


「竹千代様に拝顔を賜り恐悦至極に存じまする」


「あー、一馬殿。その挨拶はちょっと不味い。竹千代殿は立場が微妙でな」


「そうなんですか? でも他に挨拶知りませんし」


 とりあえず形式通りの挨拶をしたけど違ったのか。


 勝三郎に苦笑いされながら注意されてるし、家康はビックリしてる。


 そういや人質か何かで今川に送られるとこ織田家が横取りしたんだっけ?


 史実だと太平の世を築く偉人の徳川家康も今はただのガキだね。


 家康はあんまり好きじゃないが嫌いって程でもない。


 ケチで有名だし狸親父のようなイメージがあるし幕末明治の問題になるような幕府作ったという点もあるけど、この滅茶苦茶な時代を太平の世にした功績は確かだしね。


「竹千代。かずは海外が長いのだ。あまり気にするな」


「はっ」


 人質に他国に行くかと思えば家臣か親戚か誰かに勝手に織田に送られたんだから、子供ながらに苦労しているようで大人しい。


「大変ですね。お武家様は」


「お前も武家だぞ」


「そう言えばそうでしたね。でも私は家族を人質に出したり、いつ敵対するか分からぬとこに嫁に出してまで武士で居る気はありませんよ」


 そのままオレは信長と三十人は居るだろうお供の皆さんと家康と一緒に鷹狩りに行くんだけど、家康って人質だろうに連れていっていいのかね?


「それで構わん。お前はお前らしくすればよい」


 よく考えてみたらこの時代人質なんて当たり前だし政略結婚も普通なんだけど絶対嫌だね。


 そこんとこはっきり言っておこうかと信長に話したけどやっばりあっさり認められた。


 そう言えば史実の信長も家族とか気に入った家臣には甘く優しかったとも言われてたっけ?


「竹千代。津島に来る南蛮船のこと聞いたことがあろう。あの船の持ち主なのだ」


「……南蛮船」


 オレ達は家康を仲間に加えて獲物がいるとこに向かっているけど、信長は家康が気に入ってるのか結構話しかけてる。


 立場を気にしてかあまり口数が多くない家康だけど、南蛮船の話をすると表情が変わりオレを見た。


 というかうちの船そんなに有名なのか。


「正確にはガレオン船という南蛮の船なんですけどね。あと南蛮と言っても彼らの国は遥か西の天竺の更に向こう。ガレオン船で一年は掛かります」


「竹千代。世界は広いぞ。海の向こうに行ってみたくないか?」


「……行ってみたいです」


「いつか、オレが連れて行ってやる」


 信長は家康を自分の馬に乗せていて、まるで弟でも構うような態度で接している。


 とても人質の扱いじゃない。


 同腹の弟である信行と不仲なことを考えると不思議な気もするけど、最近までは守役の平手政秀とすら分かり合えてなかった信長は、孤独な家康に何か共感するものを感じていたのかもしれない。


 史実でも家康と信長の同盟は信長が生存してる間は最後まで守られた。


 実際この時代に来て感じたけど信長包囲網はかなりの圧迫感があったろうに。


 それはそうと信長と家康は海の向こうに行きたいんだね。


 史実の偉人だしね。


 案外別の時代に生まれてたら世界を又にかける活躍をしたのかもしれない。


 徳川幕府はこの世界では多分ないだろうけど、将来有望なのは間違いないし優しくして顔を売っておこうか。




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