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信長。南蛮船に乗る

「いつ見ても凄いですね。若」


 津島の屋敷で海の話をしていたら信長が南蛮船に乗りたいと言い出したので、オレ達は津島沖に止めてある600トンの偽装ガレオン船に乗っていた。


 ガレオン船としては大型で小型の核融合炉とエンジンが付いてる上に、正確な海図にソナーやレーダーとオートバランサーとGPSも普通に使える。


 もうガレオン船じゃないだろと言われるとそうなんだけど、この時代の船って危ないんだよね。


 実はすでに宇宙要塞で作った高性能な人工衛星を、地球の軌道上に乗せていてGPSや偵察画像の撮影に使ってる。


「見たことあったんですか?」


「ああ、一馬殿が津島に居た頃によく見に来てた」


 走らせるにはエンジンを使わないと時間がかかるから今日は無理だけど信長は無言で船や帆を眺めていて、勝三郎達は船の大きさに感動してる。


「この大砲は今撃てるか?」


「ここで撃つと騒ぎになりますよ。音が大きいんです」


「構わん」


 ただここでまた無茶ぶりをする信長に命じられるままに船員の擬装ロボットは、船の大砲に火薬と玉を込めると海側に向かって大砲を撃った。


 火縄銃とは比べ物にならない轟音が響き渡り、玉が飛んでいくのを信長達は言葉を失ったように固まって見ているな。


「これがあれば戦が変わる」


「でも若。こんな重いものなかなか運べませんよ」


「運べるようにすればよかろう。問題は城だ。今までの城では籠城が出来なくなる」


 大きな鉄の砲弾を撃つ大砲に信長はニヤリと意味ありげな笑みを浮かべて戦について語る。


 野戦だと確かに勝三郎の言う通り、この時代の日本の道路事情ならば運ぶのも一苦労だ。


 だけど馬鹿みたいに何ヵ月も籠城されるなら大砲は遅くても運べばいいし使えるだろうね。


 有名どころだと秀吉が建てた大阪城でも有効だった訳だし。


「若様。鉄砲も種類がありますので、以前お渡しした物より口径の大きな物もあります。それと大砲でしたら威力と撃てる回数が減り使い捨てになりますが、木で砲を作ることも可能です」


「ほう。それは面白い」


「木の砲は危険ですのでお勧めしませんが、鉄砲の口径の大きな物は使えます」


「手に入るか?」


「はい。幾つか試しに献上します」


 信長は新し物好きだというが鉄砲や大砲の火力には随分熱を入れてるね。


 エルが史実の大鉄砲に部類する火縄銃の話をすると食いついてきた。


 大砲は命中率とか榴弾とか作らないと合戦じゃ今一つ使えないし、当面は史実の大鉄砲揃えた方がマシだろうね。


「この国に南蛮船を持つ大名は居ると思うか?」


「居ないと思いますよ。聞いたことありませんし。近海なら今の船で十分ですから。欲しいんですか?」


「いずれ水軍も必要であろう」


「まあ伊勢湾にも居ますからね。うちは砲を撃って追い返してますけど」


「銭を払っておらぬのか?」


「払えというなら払いますよ」


「要らん」


 この時代って本当みんな勝手なんだよね。


 海を走れば水軍が金を払えと武力で恫喝してくるし、陸上も織田領内はそうでもないけど京や大阪なんかは頭おかしいのかと思うほど関所がある。


 陸上の関所はやっぱり宗教が問題だろうね。


 特に一向衆か。


 百パーセント悪いとは言わないが役にもたたず朝廷すら威圧して来た歴史を見れば、史実の信長のやり方も満更間違ったとは思えない。


 事実上戒律も何もなく政治にも口出しするは約束は守らなくヤりたい放題だからね。


 オレ本当、宗教って大嫌いなんだよ。


 自分が仮想空間からリアルな過去に来て、原因すら分からぬ不思議な体験をしたんだけどさ。


 日本の仏教は一回リセットした方がいいと思わなくもない。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 信長公記にはこの日信長が南蛮船に初めて乗り大砲を撃たせたと記されている。


 この時信長が戦が変わると言ったとも記されていて、後の織田軍の原型はこの日に生まれたのではとも言われることになる。


 久遠家の南蛮船については当時最新だったガレオン船であることは様々な資料により明らかだが、久遠一馬がいつからガレオン船を所持し何隻ほど保有していたから定かではない。


 ただ津島に入港する船の頻度から考えて複数あるいは十隻以上所持していたと見られ、織田家に臣従した時点でも極東で最大規模の貿易をしていた可能性すら十分にあった。


 なお当時の織田家は尾張統一すらしてなく水軍も保有してないにも関わらず、事実上南蛮船を保有することになったのは類い希な幸運と言えて後に何度か騒動にもなる。



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