津島の屋敷と宗教対策
「なかなかいい屋敷じゃないですか」
「ところでかず。また新しい奥方か?」
「ええ。まあ。リンリンとセレスです」
「リンリンネ」
「セレスです。若様の拝顔を賜り恐悦至極に存じます」
この日オレはエルと信長と数人のお供の皆さんで津島に来ているけど、信長とお供の皆さんはまたかという顔をする。
目的は信秀に津島に屋敷と蔵を貰ったんでエルの一緒に打ち合わせと見に来たのだけど、何故か信長とお供の皆さんが着いてきたんだよね。
それでここを任せるアンドロイドは技術型のリンリンと戦闘型のセレスの二人。
リンリンはザ・中国人をイメージした黒髪の少し愛嬌がある美女で、年は18前後のスタイルは東洋人にしてはいい感じか。
セレスは軍人らしいクールな女性をイメージした銀髪の切れ目の女性で、年は二十歳前後のスレンダー美女。
リンリンは主に津島の屋敷と商売を任せることにしていて、セレスにはすでに船の方を任せている。
ちなみに津島の屋敷も地下を改造して秘匿地下室と移動用のシャトルを置くらしい。
「何故お前は女にばかり任せるのだ?」
「いや有能で裏切らないですし」
この時代って本当女性の立場が低いよね。
うちのアンドロイドは百二十体全て女性しかいないから、男性には任せたくても任せられない。
表向きは妻は裏切らないという理由にしてるけど、多分女好きなだけだと思われてる気がする。
屋敷は広く奉公人が寝泊まりする離れなんかもあって、高い塀や蔵が三つもあるけど前は米商人の屋敷だったみたい。
「何か珍しい物はないのか?」
「若。そんなむちゃくちゃな……」
「いい物がアルヨ」
「おおっ! なんだそれは!」
「南蛮の鎧兜ヨ」
とりあえずオレの妻だと言うことで納得したらしい信長だけど、また無茶ぶりをしてお供として来ていた勝三郎が止めていた。
しかしリンリンが奥から持ってきたのは南蛮の鎧兜というかヨーロッパの騎士の鎧だった。
どうしたんだろこれ?
宇宙要塞にこんなのなかったし、なんか結構使い込んだ小汚い感じがある。
「これはどうしたのだ?」
「ルソンの近くで南蛮船に襲われた時に、相手の船を制圧して押収したネ。若様にあげるヨ」
「南蛮船は見知らぬ船を襲うのか?」
「人は様々ネ。盗人は何処にでもいるヨ」
信長は南蛮の鎧をぺたペたと触りながら興味深げに入手の敬意を聞いていたけどリンリンのやつ南蛮の船と戦ったのか。
あれ? これってもしかして南蛮の船を日本に来る前に沈めていけば宣教師来ないんじゃあ。
日本に初めて来た宣教師のフランシスコ・ザビエルは純粋な宗教家だったようだけど、彼らの得た情報や布教が利用されてる節はあるんだよね。
複雑なヨーロッパキリスト教の事情はオレもよく知らないけど、少なくとも一神教はもっと後世の時代までは厄介事しか生まないし当分日本に要らない気がする。
流石にこの時代のヨーロッパの覇権国であるスペインも日本に攻めてくる力なんてないんだろうけどさ。
あっ、でも貿易はしてヨーロッパから金銀を巻き上げないと将来大変になるか。
ただ潜水艦かなんかで宣教師が来るのをしばらく妨害するのは悪くないか?
日本人を奴隷として売り飛ばす九州と西国の馬鹿どもに力付けさせない為にも。
うん。後でエルに相談してアンドロイド達に検討させよう。




