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猪狩り

「また外してやんの。下手だな!」


「うるせえ!」


 末森を出たオレと信長一行は山に猪狩りに来ていたけど当然火縄銃なんて触ったことすらほとんどない者達が、いきなり動く獲物なんて当たるはずもなかった。


「当たったのは若と一馬殿だけか」


「経験の差ですよ。前に撃つだけなら簡単ですけど狙ったところに当てるには訓練が必要です」


 信長は二回にオレは一回で猪に当てたが他は全く当たらないので、山の中で動かぬ木を的に練習をさせていたがそれでもなかなか当たらず信長の表情は今一つだ。


 オレが納める前から持っていたようだし命中させるのに訓練が必要なのは理解していたのだろうが、高い火薬を考えれば費用対効果が必ずしも良くない。


「これは便利なんだがな」


「練習をすれば多少撃つのが早くなりますよ」


 ただ玉と火薬を予め紙に包んで用意しておく早合に関しては教えていて納入もしていた。


「かず。なんとかならんか?」


「足軽ならともかくここの皆さんには撃たせて練習をさせるのが一番かと。南蛮だと銃床を肩に当てる形なので、そちらにすると多少撃ちやすくなりますが、今度は鎧を着たときに邪魔になります。鎧から変えますか?」


「試しに試作してみろ」


「分かりました」


 信長は火縄銃の命中率の悪さに少し頭を悩ませていて、そこを何とかしたいようであった。


 多分史実のようにゆくゆくは足軽に使わせたいのだろうが、足軽にそう何度も練習をさせてれば火薬がいくらあっても足りないからね。


 別に硝石なら空気から作れるからいくらでも提供するんだけど常備軍を作らねば訓練もままならない。


「そうそう。ケティが戦場での傷を負った際の応急処置がダメだと言ってるんですよ。傷を尿で洗うのはダメだそうです。その辺りを皆さんに教えたいんですけど」


「ケティは医者か?」


「ええ。まあ」


「南蛮だと女が医者なのか?」


「いえ多分うちだけかと」


「よかろう。鉄砲の訓練と一緒に任せる」


 そう言えばケティが医療技術があることを教えてなかったんだよね。


 普段から物静かな若い女のケティが医者だと聞いて流石にビックリしてたけど、簡単に任せると言っちゃった。


 この辺りの決断力の早さも信長の強みなんだろうね。


「欠点が見つかるのはいいことですよ。戦場でいきなり使えなくなるのは困りますし」


「であるか」


「帰って夕食にしますか」


 結局この日の収穫は猪が二匹に鹿が一匹。


 血抜きだけはしておいて空の荷車に積んで那古屋に帰ることになる。


「ほんとに南蛮人だ」


「髪の色が違う」


「皆様。ようこそいらっしゃいました。少しお待ちください」


 那古屋に戻ると信長の指示でそのまま手勢込みで一行は家に何故か来てしまい、全員に夕食を出せと言うので料理の出来ないジュリアは置いておいてエルとケティで今日狩ってきた猪や鹿の肉とモツで料理をするらしい。


 というか二百人も家に入りきらないから半分以上は外の庭に座ってるし。


 みんな挨拶に出てきた外人のような金髪とスタイルのエルを見て目を丸くしてる。


 そう言えば昔の人が外人を天狗だと言ったと伝わるけどこんな感じだったのかもね。


 ああ。家には下働きの人間は置いてなく人に擬装したロボット兵を下働きの人として置いてる。


 この時代はそれなりの家には居るみたいだけど家は秘密が多いからね。


「何だこりゃ!」


「うめえ!!」


 メニューはモツの味噌煮と肉を焼いた物に漬物と白米だ。


 味噌とか塩調味料に米は宇宙要塞で作った物だからみんな欠食児童のように食べる食べる。


 ついでに米はこの時代の赤米とかの古代米じゃない。


 宇宙要塞でギャラクシー・オブ・プラネット時代に品種改良したやつだから味が全く違うんだよね。


 宇宙要塞の方では現在この時代でも植えられる、手間のかからなくて収穫量が安定してそこそこ美味い米を開発中だ。


 米のDNAはギャラクシー・オブ・プラネットではすでに解明されていたので、試行錯誤もなく開発出来るから簡単なんだよね。


 本当は早く広めたいとこだけど、せめて尾張くらい完全に統一してからじゃないと外部に流出するんだよな。




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