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拠点とこれからの話

 那古野の屋敷の地下には秘匿されてる地下施設がある。


 宇宙要塞や地上の拠点の小笠原諸島と連絡が取れる通信施設に、移動用のシャトルの格納庫と、近代的な住居や巨大な冷蔵庫や冷凍庫に倉庫など、最初に来た時にいろいろ作ったんだよね。


 下働きなんかに使ってる、人に擬装させたロボットの整備施設もあるけど。


「小笠原諸島の拠点は、ほぼ完成しました。将来的な領有権主張のために、沖ノ鳥島を拡張するのに苦労したようですが」


 農業改革を開始して忙しい最中、地下に降りたオレは通信で小笠原諸島の拠点化が終わった知らせを受けてる。


 小笠原諸島の父島と母島と硫黄島に住居となる村を作り、南国特有の作物の畑はもちろんのこと。


 ガレオン船の修復を出来る施設や鉄を造る高炉の一種や、ガラスの製造施設とか銭の鋳造施設とか、ガレオン船を泊められる港など本格的に作ったんだよね。


 ただ沖ノ鳥島を初めとした無人島の拡張とかを頼んだら、時間がかかったみたい。


 この時代まだ白人の居ないオーストラリア辺りから、鉱石を掘り出すついでに土砂を運んで、可能な範囲で拡張と標高を上げる工事を行った。


「これでまあ、誰が来ても大丈夫な訳だ」


「あくまでも貿易の拠点としてですが。やり過ぎない程度の技術の施設を揃えました」


 いろいろやり過ぎて目立っちゃったから、この先オレ達の拠点を探したりする人居そうだしね。というか信長が一度行ってみたいと前に言ってたしさ。


 硫黄島にはシャトルの発着の地下基地を作ったし、シャトルの製造可能な近未来の工場も作った。


 まあ一番多く作ったのは日本式の蔵なんだけど。


 宇宙から運んで来た物や、領有権のはっきりしない場所から採掘した資源とかを、交易で手に容れたように見せる為に多くの蔵が必要なんだよね。


「それでこの宝石はどうしたの?」


「そろそろ明の密貿易船や、本物の南蛮人が来るかもしれませんので、いろいろ用意しました。硝石や絹は要りませんが、金と銀ならば必要ですから」


 それと深夜に輸送用のシャトルで、こっそりと貿易の商品になりそうな貴重品を宇宙から運んで来たみたい。


 ルビー・サファイア・エメラルド・翡翠・赤珊瑚・真珠などの宝石に、ガラス製品や陶磁器など国内や貿易で高値で売れそうな物を運んで来たようだ。


 ちなみに宝石類は全部人工的に作ったけど、天然石に見えるような作り方をしたから、後の世になって鑑定しても分からない物にした。


「あんまり売ると、南蛮人が大挙して来そうで困るな」


「私達が直接会う必要はありませんよ。その点はこの時代のいいところですね。商売はリンリンならば、見た目がアジア人なので問題ありませんから」


 宣教師は扱いが難しいので、当面はルソンに到着する前のどかかで海の藻屑になってもらうとしても、本物の南蛮人はそのうちエル達の噂を聞いて来そうなんだけどね。


 ただエル達が南蛮人に会う利点もなければ、会う必要もないんだけどさ。


 戦国時代の武家の嫁なんかは、城や屋敷からほとんど出ないのが普通にあるから。会わなくても問題はない。


 津島を任せてるリンリンは見た目を中国人っぽいから、南蛮人が騒ぐことはないだろう。


「とりあえず一通り、殿と若様に献上しとくか」


「恐らく堺で金や銀に変えて、津島に来る流れになるでしょう。そうすれば多少でしょうが、国内の金や銀の流出は止められます」


「宝石がヨーロッパに流れても、あまり問題はないか」


「いくらでも作れますからね」


 尾張だと南蛮人が運んでくる、高価な硝石や絹は売れないだろうな。家が安く卸してるし。


 出来れば南蛮人や明の商人には堺で取引をして、そこで得た金や銀で買い物をして欲しい。やり方がえげつない気がしないでもないけど。明や南蛮人もえげつないからね。


「来年には綿花と麻も無毒性の物を新たに植えようと考えてます。麻は栽培が楽ですし、服も紙も作れますから。綿花は魚肥の目処が立ったので、国産化を始めようかと思います」


「どっちも農民の副業にしたいな。農業の効率化するなら現金収入がないと、食べていけない人出てくるだろうし」


「織物関係は年配者や女性でも出来ますから、農民の副業にいいかと思います。多少品質が悪くても今の国内ならば需要があるでしょうから」


 貿易で得るのではなく国産出来る物は、順次国産化しないとなぁ。


 出来れば地産地消したいな。他所から持ってくると、あちこちで取られる税やら輸送費やらで高くなるだけだし。


 将来的に領地が広がれば、より広い範囲で循環出来るだろうからさ。


 でも問題は農民がどこまで協力してくれるかだな。


 史実の長い歴史でも、そこが一番難しいところだったろう。


 農民には農民の積み重ねてきた歴史があるからなぁ。



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