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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード26(シーズン2 エピソード12) 『お子様ランチ』
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名状しがたい邪神・後編

「……これは?」


 その反応からして、どうやら食べたかったものは深層心理的に出てきたものだったのだろうか。実際問題、メリューさんの見える『食べたいモノ』は本人が思い浮かべているものか、もしくは深層心理に語り掛けているモノまで様々だ。仮に後者ならば、知らない料理が登場しても何ら不思議ではない。けれど、その料理は必ず食べたいモノに間違いないだろう。メリューさんの目に狂いはないのだから。



 ◇◇◇



 そのあと。

 黄衣の王はそれを疑いながらも、少しずつそれを口に入れていった。やっぱり一回食べれば慣れてしまうもので、あっという間に食べていった。一度これは安全だと解ってしまえば楽になる――ということなのだろう。

 しかしながら黄衣の王はずっとそれを食べていき、最終的に食べ終えるまで何も言うことはなかった。感想も述べることなく、ただずっと食べ続けていった。

 そうして食べ終えると、ただ一言こう言った。


「……美味しかった。とても美味しかった。ありがとう」


 そう、その一言だけを残して。

 黄衣の王は立ち去っていった。

 ただ俺の心には、モヤモヤが残ってしまっただけだったけれど。



 ◇◇◇



 エピローグ。というよりも後日談。

 メリューさん曰く、


「……記憶を取り戻さなかったか。そいつは残念だったね。まあ、いつか記憶を取り戻す日が来るだろう。あるいは、永遠と取り戻さないかもしれないけれど、それについては私の知るところではないね」


 珍しく、突き放した。

 ほんとうに珍しい。


「なぜ私が突き放したか、解るか? それは簡単なことだよ。あれには意志があった。そして、私が無理に思い出させる方法は無いわけではなかった。けれど、それでもそれを実行しなかったのには意味がある。意志を尊重するためだ。仮に思い出させたところで、それを嫌がっていたのならば? 話を聞いている限り、どうやら相当自分の立場に嫌悪感を抱いていたようだったから……、それを考えると、難しい話だろうね。まあ、それがどこまで続くか一料理人には言える話ではないけれど」


 そう言って――吐き捨てるように言って――メリューさんは厨房へと消えていった。

 俺はそれを見て小さく溜息を吐くと、洗い物を再開した。もしかしたら、黄衣の王が自らの記憶を思い出す時間軸があるのか、なんてことを思いながら。


エピソード26 終わり

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