表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード25(シーズン2 エピソード11) 『ガパオライス』
93/254

食わず嫌いを何とかしよう・起

エピソード25

 ドアに付けられた鈴が鳴ったのは、ちょうどその時だった。


「あー、おなかすいた! こんなところに喫茶店があるなんて、ほんとうに助かったわ。私たち、神様に愛されているのかもしれないわね」

「失礼します。こんな姉で……」


 対照的な二人の女性が入ってきた。

 一人はへそ出しルックの格好にダメージジーンズとかなりセクシーな感じだ。

 対してもう一人は薄黄色のドレスに身を包み、何かカードのようなものを持っている。


「……まあまあ、そんなことをいうからあなたは面倒な性格になっちゃうのよ。あ、お兄さん、どこ座ればいい?」

「どこでもいいですよ、空いているところなら」

「ふーん。じゃ、ニーナ。カウンター座ろうぜ」

「も、もう……姉さん、手を引っ張らないでよ!」


 似ている風貌と『姉さん』と言っていることから、どうやら姉妹のようだった。

 それにしても、ここまで性格って違ってしまうものなのだろうか……? あまり医学について詳しくないけれど、ここまで違うとちょっと面白い。


「ねえ、お兄さん。メニューとか無いの? それともここはメニューが一種類しか無くて、それしか提供してくれないとか?」

「いいえ、違いますよ。ここは『あなたが食べたいものを提供する』お店です。いわずとも料理人である彼女があなたたちを一目見ただけでわかります」

「ふうん……。まるで魔法ね。訳が分からないけれど、信じることにしましょうか」

「ね、姉さん……。あんまりそういうこといわないで上げてよ。商売だからそう言っているかもしれないでしょう?」


 おい、二人の意見が一致したぞ。

 それはそれとして。

 メリューさんのチェックも済んだところで俺は水を提供する。


「あー、サンキュ。ちょうど喉が水を欲していたところだったのよね。そこらへんはさすがマスターって言ったところかな?」

「ありがとうございます。あの、姉さんの発言は放っておいてくださいね。たまにデリカシーのない発言をしますので」


 たまに、ではなく常にしている気がするのですが、それは無視していい発言なのか。それとも一種のギャグなのか。

 まあ、それなりに妹も信頼している、ということなのだろうけれど。その発言は逆に反感を買いそう……とは言わなかった。やさしさだ。これ以上何か言ったら妹が心労で倒れてしまいそうだ。今でもなんかすごく疲れているように見えるというのに。


「ああ、うまい!」


 そうこう考えているうちに姉のほうは水を豪快に一気飲みして俺にグラスを突き出した。どうやらお代わりを所望しているということはすぐに理解できた。まあ、俺が水差しを持っていたから、だろうけれど。

 取り敢えずそのグラスを受け取って俺は水を注ぎ、そのまま姉に手渡した。それを笑顔で受け取る姉。もともとの顔が美人だから、とても笑顔が生える。くそっ、性格がガサツなのにこれは卑怯だ。……だからといって、近しい関係になったらとても苦労しそうだけれど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ