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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード21(シーズン2 エピソード7) 『特製おかゆ』
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続 王女のワガママ・6

 結果が伴ってきたことで評判もあとからついてきた、ということだろうか。

 そう考えると仕方がないことなのかもしれないけれど、確かにそうなってくるまでは先代――おそらく、ミルシア女王陛下の母親も大変だったことだろう。

 アルシスさんの話はなおも続いていく。


「結局、先代は長くこの国を治めました。その間戦争も起きなければ、諍いも起きなかった。非常に平和な治世であったと、国民は皆言っていました。ですから、崩御した後の子供による治世……即ち、ミルシア女王陛下による治世にもある程度の評判があったのです。評判というよりも期待といったほうが正しいかもしれませんが」

「期待……?」

「国民から素晴らしいといわれた王の子供による政治です。はじめからそれなりの期待をかけられないほうがおかしな話ではないか、そう思いませんか?」


 そこで、アルシスさんはようやく立ち止まった。


「ここは……?」

「ここはミルシア女王陛下……いえ、正確に言えば、彼女に仕えるメイド用の厨房になります。専属コックが使う厨房とはまた別の、いわゆるプライベート用といってもいいでしょう。そういう場所になります」


 さすが、王城。プライベートの厨房があるなんて。しかもそれなりの大きさ……。

 まあそんなことを考えている暇はない。とにかく、メリューさんから貰ったこれを温めておこう。

 鍋を置いて、メモを見る。メモには簡単に温めるときの注意が記載されていた。無機質な文章ではあったが、非常に丁寧に記載してあるのはメリューさんの優しさからだろう。


「……すいません。火はどこから?」

「何だ。火のつけ方も知らんのか。……まあ、いいだろう。ちょっと退きたまえ」


 そう言われたので、その通りに後ろに下がる。

 アルシスさんは鍋のすぐ下にある栓を開けながら、鍋の下にもう一方の手を置いて何かをぶつぶつと呟いた。

 火が鍋の下に出てきたのはそれからすぐのことだった。そうして素早く栓を操作することで調整する。


「……これでいいだろう。消すときはそのスイッチを右に回転すれば空気が出てこなくなる。非常に簡単なことだろう? 取り敢えず、今は強火にしてある」


 ……魔法か何かを使っているのだろうか?


「どうかしたか? 魔法のことならば、別にこの国では普通のことだよ。かつてこの国にいた大魔導士が魔法に関する書物を執筆したことで、この国に魔法が流行した。それに従って旧時代的だった魔術は衰退の一途を辿った……それがこの国の歴史だからな」

「魔術と魔法って、どう違うんですか?」

「詳しいことは知らないが、魔術は魔方陣やエネルギー、それに悪魔との契約等色々とあるらしいぞ? それにデメリットも大きい。一番のデメリットは時間と空間かな。魔方陣は描くために一定のスペースが必要となるし、もちろん時間もかかる。それにエネルギーという代償もある。だから、魔術はそれなりの専門家しか使うことが出来ない。一方、魔法はそれらを一切排除した文言のみで、詠唱のみで、発動することが出来る。魔方陣も契約も必要ない。だからそちらのほうが世間に受け入れられ、流行していった。……それだけを聞けば、魔法が発達し、魔術が衰退していったことも何となく理解出来るだろう?」


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