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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード21(シーズン2 エピソード7) 『特製おかゆ』
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続 王女のワガママ・2

 差別というものは簡単に無くならない。それは俺の世界でも常識めいたようなことだった。確かに仕方ないことかもしれないけれど、それを『仕方ない』と言い切ってしまうのも良くない。

 だから実際には、それを否定したほうがいいとは思うのだけれど、しかし強気なオーラを放っているように見えるアルシスさんにそれを言うことはちょいとハードルが高かった。


「……取り敢えず料理は作るよ。けれど、どうするつもりだ?」

「私はこれから仕事が忙しい。残念ながら直ぐに戻らなくてはならない。……だから、城まで持ってきてほしい。もちろん、無料とはいわない。料理代にプラスアルファしましょう」

「まあ、それについては何の問題もない。……だが、どうせ私は無理なのだろう?」


 メリューさんがニヒルな笑みを浮かべて先手を打つ。

 対してアルシスさんも頷き、


「当然だ。城内に亜人を通すわけにはいかない。最近は寛容になっている勢力も多くなっていることは事実だが……、だが私は認めない。亜人は人間に支配されるべきなのですから。人間よりも低い地位にあるべき存在が、人間と同じ場所に居てはならないのですよ」

「……解りました。では、誰に配達をしてもらうかはこちらで検討しましょう。それでいいわね?」

「別に構わないわ。……あ、一応言っておくけれど、二名で来てほしいわね。あと、目立たないようにメイド服で。そうならば、私と一緒に城内を歩いていても別に何も思われないでしょう? そういうことだから、よろしく頼みますね」


 そう言って、強い口調のままアルシスさんはボルケイノを後にした。

 なんというか、最後まで強い口調の人だったな……。

 そう思いながら、俺はお店の服に着替えるべく、裏へと向かった。



 ◇◇◇



「あ、ケイタ。ちょっといいかしら?」


 メリューさんから呼び出しがあったのはそれから十分後のことだった。


「はい……。どうしました?」

「ちょっと大変なことになってしまったのよ……。さっきの気の強いメイド長のことを、覚えているかしら?」

「ええ、まあ」


 あれだけ印象が強い人を覚えていなかったら、記憶障害の類を疑われることだろう。たぶん。


「それで、問題が生じちゃってね。さっき、二人って言ったでしょう。それに、メイド服。そこが問題なのよ。今日はサクラが風邪をひいてお休み、って言っていたわよね?」

「ああ、ええ。そうですね。あいつ、珍しく風邪をひいたから今日は行けないって言っておいて、とかついさっきメッセージで来ていましたね」

「そこが問題なのよ。あとは私とティアだけだし。お店は最悪私たちだけでなんとかなるにしても、リーサしか居ない。だから、二名という条件を満たせないのよ」


 それは別に問題ないのでは?

 人がいなかった、と言って済ませるしかないと思う。だって人を増やすことも出来ないし。

 そう言おうとしたところで、さらにメリューさんが話を続ける。


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