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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード20(シーズン2 エピソード6) 『チャーハン』
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旅する魔女・前編

エピソード20

 魔女が倒れていた。

 ……いや、正確に言えばそれを見つけたのは僕じゃなくてメリューさんなのだけれど。

 メリューさん曰く、


「今日も開店だと思って扉を開けたんだよ。するとどこかともうとっくに繋がっていたみたいでね、ある世界の路地裏と繋がっていたんだよ。そしてその前にぶっ倒れていた。放っておくわけにはいかないでしょう?」


 そうかもしれないけれど。

 見たことの無い人……人でいいんだよな? を招き入れるのはどうかと思うのだけれど。メリューさんはお人よしだから仕方ないかもしれないとはいえ、ちょっとやりすぎじゃないかなあ。


「どうした、ケイタ。もしかして気になっているのか? 安心しろ、どうやらただの魔女のようだ」


 ただの魔女ってなんだよ!

 そう心の中でツッコミを入れたけれど、そんなツッコミを入れたらきっと負けなのだろう。

 閑話休題。一先ず魔女の素性を調べることとしよう。どうせメリューさんは調べることなんてしないだろうし。くそっ、今日に限ってどうしてサクラはお休みなのか? お休みじゃなければ一緒に調査をお願いしたかったのだが……。

 魔女は今カウンターでチャーハンを食べている。とんがり帽子に黒いフード、シルバーブロンドの髪をしている。そして食べている姿はとても可憐で、荒野に咲いている一輪の花みたいな……それは言い過ぎかな。


「ねえ、君。どうして倒れていたのかな?」


 俺はなるべく警戒されないように、丁寧に訊ねた。

 俺の言葉を聞いて上を向く魔女。頬にご飯粒をつけたまま、口に入れたご飯を呑み込むと、


「実は私は旅をしていまして!」

「旅、ですか」


 魔女って旅をするものなのか?

 まあ、でも魔女ってなんか忌まわしき存在みたいなイメージあるしな。もしかしたらそういうイメージを地で行く場所なのかもしれない。


「でも、何で野垂れ死にみたいなことに?」

「失礼な! まだ死んでいませんよ! ……おっと、取り乱しまいた」

「噛んだ!?」

「失礼、噛みました」


 なんかどっかで聞いたことのあるようなやり取りだけれど、華麗にスルー。


「魔女は一人前になるために、広い世界を見る……それはお師匠様から言われていたことでした。ですから私もそれに倣って旅をしているのですが……その……」


 急に魔女の声が小さくなる。

 ん? 何か俺、変なこと言ったかな。

 そんなことを思ったけれど、すぐに魔女のほうから回答が来た。


「実はそんなにお金を持っていなくて……。私が倒れていたのも、路銀を持ち歩かなかったために、満足な食事が出来なかったことが原因でして……」


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