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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード17(シーズン2 エピソード3) 『ホットケーキ バニラアイスを添えて』
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新メンバーの一日・中編

「……そうなんですか」


 私はそれでも信じられなかった。

 けれど、ファンタジー的世界観ということを考えると、そういうことも案外普通なのかもしれない。……というか、それってただの読心術なのではないだろうか?


「それにしても、どうしてそんな能力を……?」


 私の言葉に、メリューさんは笑みを浮かべる。


「うれしいねえ、信じてくれるのかい。まあ、本当のことだけれど」

「……え? 本当なんですよね? だったら、信じますよ。嘘を吐いていないのであれば」

「嘘は吐かないよ、私は元来嘘を吐くことはしない、と決めているのでね。……さて、休憩するとしようか。ホットケーキを食べるでしょう?」


 そう言ってメリューさんは厨房へと向かった。

 メリューさんに休憩中の手を煩わせるわけには……そう思って私も厨房へ向かおうとしたけれど、それをメリューさん自身に抑えられた。


「いいのよ、別に。私が作りたくて行きたいのだから」

「それではせめて紅茶だけでも……」


 私は矢継ぎ早にそう言った。せめてそれだけでも、私はしたいと思った。しなければならないと思った。

 それを見たメリューさんは笑みを浮かべると、大きく頷いた。


「そこまで言うならば、やってもらいましょうか。その気持ちを無碍にすることも出来ないしね」

「はい! ありがとうございます!」


 そうして私は、紅茶を入れるべくカウンターの裏へと向かった。

 メリューさんもメリューさんで私を見守りながら、厨房の奥へと消えた。



 ◇◇◇



 メリューさんがホットケーキを持ってきたちょうどいいタイミングで、私も紅茶をいれ終えた。


「ホットケーキ、焼きあがったわよ」


 メリューさんの手にはそれぞれ一枚のお皿があり、そのお皿にはホットケーキが三枚と蜂蜜、それにバニラアイスが溶けかけの状態で乗っかっていた。

 それを見て私はすぐにでも食べたい! と思ったけれど、まだ紅茶をティーカップに入れていなかった。そう思った私は早く食べたくて大急ぎで紅茶を入れようとした。


「駄目よ、サクラ」


 ……そこで私はメリューさんにさえぎられた。


「……え? どうしてですか。まだ紅茶を入れていませんけれど」

「入れていないのは見てわかるわよ。問題はあなたが今から『大急ぎ』で紅茶を入れようとしていること。そんなことがオーケイだと思っているわけ?」

「え、いや……どういうことでしょうか? さっぱり、理解できないのですが」

「だから。……まあ、いいわ。ちょっと貸してみなさい」


 そう言ってメリューさんはホットケーキの皿をカウンターに置くと、ティーポッドを私の手から奪った。



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