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ケイタのクラスメイト・起

エピソード16

 私は時計を見ていた。

 なぜか、って?

 ケイタがやってこないんだよ。いつもやってくるはずの時間になっても、来る気配がない。連絡手段も一応持っているのだが、その連絡手段を通して遅れるとかそんなことも言っていない。

 少しは心配になってくるのだが、しかし連絡しても連絡が取れないのだから何もできない。


「……しかし、どうしようもないしなあ」


 あいつの世界に行ってみるか?

 ……いやいや、そいつは駄目だ。先ず、この角をどう隠せばいい? ケイタの住む世界では、一番迫害されているという。面白がる人もいて、それが世界中に流布される可能性もあるのだとか。……まあ、『こすぷれ』とやらに思われれば、まだ可能性として問題ないらしいが、そこまで私には解らない。

 もどかしく思う間も、時計の針は進んでいく。

 どうしようもない。そう思っていた、その矢先――。

 カランコロン。

 ドアについていた鈴の音が聞こえて、私は立ち上がる。

 入ってきた相手は私の予想通り――ケイタだった。

 だが、それだけではなかった。

 ケイタの後に、もう一人。

 スカートを履いた女の子だった。


「すいません、メリューさん。ちょっと遅くなってしまって」

「へえ。……すごいいい雰囲気ね。というか、え、はじめまして。私のせいで遅くなってしまったので、ケイタをあまり怒らないでくださいね」


 そう言って女の子は頭を下げる。

 いやいや、別に私は怒っているわけではないぞ? 怒っているわけではないのだが……。正確に言えば、心配していただけだからな。連絡くらいしてほしいものだよ、まったく。

 それについて私の口から伝えると、ケイタは、


「それについてはほんとうに申し訳ないです。連絡しようとは思っていたのですが、ちょいと彼女につかまってしまって――」

「つかまってしまった、それについては理由にならない。なぜこうなったのか教えてはくれないか? それを聞いて判断することにしよう」


 私はその女の子も含めて話を聞くことにした。さながら事情聴取みたいなものだが、まあ、聞くことについては悪いことではないと思う。大方、私の予想通りだと思うけれど。

 解りました、と言ってケイタはカウンターに腰かける。女の子もケイタに合わせてその隣に腰かけた。まだ時間はある。ゆっくりと話してもらって構わないぞ。

 そうしてケイタは、少し前の出来事について話し始めた――。



 ◇◇◇



 終業を知らせるチャイムを聞いて、俺は立ち上がった。

 今日も学校は何事もなく終了した。そう自己完結させてクラスを後にすると、いつも通り一目散に玄関へと向かい、そのままいつもの場所へ。そしてボルケイノに入り、バイトを始める。それが俺のいつものスケジュールだった。


「ケイタ、待ちなさい」


 ……また、始まった。

 俺は小さく溜息を吐いて、踵を返した。

 そこに立っていたのは、俺のクラスメイト。正確に言えば、俺の幼馴染。

 その名前は柊木桜。もっと言うならば、クラスの学級委員も務めている優等生だった。


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