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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード15(シーズン2 エピソード1) 『ポテトサラダ』
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ビターな片思い・中編

「私の好きなもの?」


 休憩時間、正確に言えば昼休み。

 俺はメリューさんにそれとなく訊ねてみた。もちろん適当なタイミングで切り出したわけじゃない。日常会話を続けに続けた上に、そう話しかけただけのこと。だから、まったく間違った流れを生み出したわけではない、ということだ。


「ええ、まあ、ちょっと気になりまして」

「気になる、と言ってもなあ……。あんまりおもしろい話題でもないぞ?」

「まあ、それでもいいじゃないですか。話のネタにはなりますよね?」


 ちょっと念を押してみた。なんか不審に思われないか、と思ったけれど――何とか今のところメリューさんは不審に思っていないようだ。

 メリューさんは上を向いて、何か考えるような様子を見せる。

 そして、メリューさんは暫く考えた末、口を開いた。


「そういえば、それって食べ物か?」

「ええ、そうですね」

「だったら、あれが好きだったな。あの料理だ。……ポテトサラダ、と言えばいいのかな。蒸かした芋を潰して、様々な野菜をトッピングしたものだ。家族がそれを作ってくれるのが、楽しみでね」


 ポテトサラダ、か。

 確かにあれは美味しい。俺の祖母もポテトサラダを作っては、叔父さん叔母さんに食べさせていたっけ。叔父さんと叔母さんはそのポテトサラダを食べて生きてきたから、それがとても懐かしく思えるのだろう。毎回祖母の家に帰っていくタイミングで、毎回ポテトサラダを食べているし。


「……で、それを質問した意味はあるのか? 正直理解できないが……」

「ん、あ、いや、充分ですよ。ありがとうございます。……さてと、休憩を終わりにしますか。まだ人は来ないから、メリューさんは休憩していていいですよ。俺はまだいろいろと残っているので、早めに休憩を抜けるだけですから」


 そう言って俺は休憩を早めに切り上げて、カウンターへと戻っていった。




「ポテ……ト、サラダ? なんだ、それは。そのようなものが好きなのか?」


 三日後、ラインハルトさんがやってきたタイミングで、俺は『宿題』をラインハルトさんに提出した。その答えを聞いてラインハルトさんは首を傾げていたが、少しして理解し始めてきたのか、何度か頷いてコーヒーを啜った。


「ふむ、ふむ! 成る程ね。それさえ理解しておけばいい。ありがとう、ケイタ。君のおかげでまた一つ彼女のことを知ることが出来たよ。それじゃ、また」


 残っていたコーヒーを一気飲みして、お金を支払って、ラインハルトさんは去っていった。


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