表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード08

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/254

祭りの季節は恋模様?・2

「神様、ですか……」


 ふとそこで俺は、前にメリューさんから聞いた昔話を思い出した。一瞬のようで、それでいて永遠の出来事にも取れる、あの昔話。

 メリューさんがかつては人間だった……今思えば、むしろそうであって当たり前だったのかもしれない。あんなに表情豊かであるのにドラゴンだなんて、正直信じられなかったし。

 それにしても、ドラゴン……か。何で俺はこんな『異世界の象徴』と喫茶店を経営することになってしまったのだろう? それを知りたい人間は、きっと俺が思っている以上に多いのかもしれない。少なかったら、ただの驕りに過ぎないのだけれど。

 ……そう俺が物思いに耽っている、そんなタイミングの出来事だった。



 ドン! と短い破裂音があった。



 それを聞いて俺は我に返る。音の鳴る方向を急いで振り向いた。

 さらに二度、間髪を容れずに破裂音が鳴り響く。それが鳴るにつれて、会場の空気は盛り上がっていく。


「いったい、何が……!」

「そう慌てる必要は無い。上を見てみろよ、ケイタ。そうすれば君の知りたい真実が掴めるさ」


 メリューさんは人差し指を立てて、そう言った。

 はて、それはいったいどういうことなのか? 理解に苦しむが、俺は上を見た。



 ――そこには、夜空に花が咲く光景が広がっていた。



「これは……?」

花火ファイヤーフラワー、って言うんだっけか。ケイタの居る世界では」


 こくり、と俺はメリューさんに言われるがままに頷く。

 さらに、メリューさんの話は続く。


「きっとこれを見て『珍しい』と思ったかもしれないな。まぁ、確かに珍しいかもしれない。この国でもこれほど大々的に花火を打ち上げることは無いからな。何せ、今はこの国の生誕祭だ。めったに打ち上げることのない花火を打ち上げて、国の誕生日を祝う……って話だよ」


 国の誕生日を祝う、か。俺の住んでいた国ならそんなことは無い。別に愛国心が無い、ってわけでも無いと思うのだが……まぁ、この国に比べたら負けるかもしれないな。それほどに、熱量が違う。


「……さてと、ざっと見渡したが何か良さげな食材はあったか、ティア」

「入口前のお店で、マキヤソースとスペシャルアイアンメイデンドレッシングが売っていたよ、樽で」

「樽で!? ……何だよ、それ。もっと早く言ってくれないと。入口なんてここから走っても十分以上かかるわよ! 人混み、雑踏の中じゃもっと時間がかかるって言うのに……!」


 普段の彼女なら地団駄を踏みたいところだが、そうもいかない。

 仕方なく彼女は踵を返して、雑踏の中を分け入るように進んでいった。ティアさんも後を追うように走る。そして最後に、俺。脇目もふらずに走るメリューさんたちに追い付けなくなっていく。姿が小さく、小さくなっていく。ちくしょう、もっと後ろを確認しろよ! そんなツッコミなんて出来る余裕も無かった。

 そして俺はとうとう疲れ果て、その場でへたり込んでしまった。


「大丈夫?」


 俺の頭上から、そんな優しい声が聞こえたのは……そのときだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ