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神なる龍の呪い・4

「……そんな奇跡、できることなら伺いたくないものだが」

『一応言っておこう。万に一つと私は気持ちを変えるつもりはない。お前がドラゴンの卵を盗もうとした事実、それは一切変わらない。だから、私のために力になってくれないか。その喫茶店を救ってくれ』

「……救う、ねえ。別に断ることはしないけれど。私だって料理人だし。それに、具体的な場所に勤務していないから、それもそれでアリかも」

『そう思ってくれて助かる。それでは――まあ、君には関係ないかもしれないが、二つ「枷」を用意しておいた』


 そして、私の身体は――光り輝いていた。


「何をした……!?」

『なに。一つ、私の呪いをかけた。まじない、というやつだ。たぶん君は、きっと守ってくれると思うけれど……守らなかった場合の保険ってやつだ。君の身体を――』


 そして、私は――私の視界は、黒に染まった。



 ◇◇◇



 気づけば、私はカウンターで居眠りしていた。


「ううん……ここは?」


 周囲を見渡すと、古い棚にたくさん積められているティーカップ、コーヒー豆、その他もろもろ……。ようく見ると、ここが喫茶店だと理解できる。


「もしかして、あのドラゴンが言った喫茶店って……」

「その通りです。ここは、あなたの言った通り、私の父の言っていた喫茶店になります」


 声が聞こえた。

 そちらに向くと、背後に黄色い髪の少女が立っていることに気が付いた。メイド服に、分厚い本を持っている。肌をよく見ると鱗がついている。……誰?


「ああ、そういえば自己紹介をしておいたほうがいいかもしれませんね。私の名前はティア。一応言っておきますが、苗字はありません。だってドラゴンの娘ですから」

「それじゃ、一つ目の『保険』というのは……」


 ティアは私の言葉を聞いて、頷いた。


「ええ。私が補助として就く。仮に何かあったとき、私が力になるということです。具体的に、目標を達成するまでの間……でしょうか」

「目標?」

「このお店を、世界中の人々が笑顔で染まるような場所にしたい」


 端的に、ティアは言った。


「――この店のオーナーが言った願いですよ。ですが、オーナーは死んでしまいましたけれどね。そして、オーナーから我々が引き継いだのがこのお店。ただし、このお店は我々がその目標を達成するために、達成しやすくするために、設置していますけれどね」

「……というと?」

「この空間は、別の世界とは違う時間軸で進行しています。正確に言えば、『どの世界にも属していない、独自の世界』を構築していると言えます。この喫茶店と、庭。それがこの世界を構成するすべてです。そして、この世界を守るのが私たち……ということになります」


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