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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード50(シーズン3 エピソード21) 『いなり寿司』
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狐の恩返し・2

 キッチンに食材をどさどさと置いていく。ケイタはすっかり暇になってしまったのか、家から持ってきた宿題を片付けていた。学生は勉強が本業だからな、私はそれを見てとやかく言うつもりは無い。私だって学生として勉強に励んでいた時代もあったわけだからな。

 それはそれとして、私は食材を見渡す。うどんにマキヤソースにグロトという魚の節、それにメインとなる油揚げ。うん、完璧だ。……と思ったけれど、何か足りないような?


「あれ、メリューさん。きつねうどんを作るんですか?」


 気がつけばケイタがキッチンにやってきていた。


「ケイタ、片付けは終わったのか?」

「終わったも何もとっくに終わっていますよ。ずっと暇ですから本を読んでいました」

「本? それは私にも読める物か?」

「言語さえ分かれば読めるかもしれませんね」


 だったらその壁は簡単に取り除けそうだな。何せケイタは私が普段使っている言語を使っているのだ。だったらケイタが普段使っている『ニホンゴ』とやらも簡単に使うことができる……はず。うん、確定ではないけれど、出来ない話では無いと思う。

 さて。

 ケイタとの話はそこまでにしておこう。問題は今から食事を作るということ。何だかとっても時間が経過した気がするけれど、そんなことはどうだっていい。とにかく今は私のお腹を満たす食事を作れればそれで構わないのだから。


「……ケイタ。とりあえず私は今から食事を作るから。まあ、誰か来たら対応は出来るし、気にしないでおいて。……一応確認しておくけれど、あなたの分は作らなくて良いわよね?」

「ええ。大丈夫ですよ」


 ケイタの確認も取って、私は漸くきつねうどん作りに取りかかることが出来る。とは言ってもそんな難しい話じゃない。既にうどんはあるし、どちらかといえばつゆを作る時間のほうがかかるかもしれないな。それは何とかするしか無いけれど、あんまり時間がかかりすぎると変な時間に食事を取ることになるのだよなあ……。

 そう思っている間にも時間は進む。そう思った私は、ゆっくりとうどん作りに取りかかるのだった。



 ◇◇◇



 私の目の前にきつねうどんができあがるまで、約十五分の時間を要した。

 私の料理にしては時間がかかった方かもしれないが――、まあ、仕事じゃないからこんなものだろう。プライベートでも食事を作らないといけないのは非常に面倒な話だ。そんなことをケイタに愚痴という形で言ったことがあるが、あいつはそれに対して「俺の世界はもっと便利なものがありますから、面倒だったらそこに行きますけれどね」などと言っていた。私の世界にはそんなものがないから、言っているのだろう! なぜ分からないのか、というか、若干論点がずれていることに気付いていないとでも言えば良いか。

 承前が長くなったが、私も腹が減っている。急いで食べないと客がやってきてしまうだろう。調理中は運良く来なかったが、食べている間に来たら自ずと中断せざるを得なくなるから、麺がスープを吸ってあまり美味しくなくなってしまう。歯ごたえが無くなる、とでも言えば良いかな。ああいう感じだ。

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