表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード47(シーズン3 エピソード18) 『薬膳スープ』
171/254

鬼の里、鬼娘の決意・起

「私たちの話を聞きたい?」


 シュテンがそんなことを言ったのは、ある昼下がりのこと。例に漏れず今日も暇なボルケイノは、早めの昼ご飯を終えてまったりと休憩に入っているところだった。

 メリューさんはそれを聞いて、うんうんと楽しそうに頷きながら、


「だって、あなたたちのことあまり知らないもの。そりゃ、私が身元引受人になった時はいくらか話は聞いたかもしれない。けれどそれは上辺だけの問題でしょう? 仲良く、そしてずっとここで暮らすんだから少しは聞いておかないとね。ティアもそう思うでしょう?」

「私は別に。そこまで気にすることでは無いと思いますが。そもそもプライベートな質問では? デリカシーの無い代表であるあなたがズケズケと聞いていくのも如何なものかと」


 ティアさんは毒舌たっぷりにメリューさんの言葉に返した。


「あなたねえ……!」


 メリューさんはティアさんの言葉に少し(というか思い切り)苛立ちを隠せないようだったが、


「いいですよ、別に」


 それよりも先に行動したのはシュテンだった。


「シュテン……」


 ウラはそう彼女が答えると思っていなかったのか、シュテンのほうを見る。


「彼女たちにはお世話になったし、気概がないことだって十分理解している。もちろん、私たちを何処かに売り払おうなんてことも考えていない。そうでしょう?」

「当たり前だ。ここで働いているみんなは私の仲間だからな」


 メリューさんはそう言って軽く自分の胸を叩いた。


「ウラ。もう話しましょう。私たちのことを。どうして私たちがあの場所で……テロをするに至ったのか。それについて話をしましょう。そうでないと、私たちは真にボルケイノの仲間になれた気がしないから」

「シュテン……」


 ウラはシュテンをただじっと見つめる。

 彼女の意志が強いことに改めて気付かされたからかもしれない。いずれにせよ、今の彼女たちの間に入る余地などありはしなかった。

 そうして、永遠にも近い時間、彼女たちは見つめ合っていた。きっとお互いに考えていたのかもしれない。

 先に口を開いたのは、さっきとは打って変わってウラだった。


「……それでは、お話ししましょう」


 その一言で、空気が変わったような気がした。変わったのは、空気よりも雰囲気のほうが近いかもしれないが、この際細かい話は飛ばしてしまったほうがいいだろう。

 そうして、ゆっくりと彼女は語り始めた。

 シュテンとウラ、そして彼女たちが共に過ごしていた、『鬼の里』の話を――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ